新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ネットが正義を形作る社会についての一考察

2月19日号のInternationalでは、「エイズ・マラリア・眠り病対策の国際基金」(以下GF)という国際援助の枠組みを巡って発生したスキャンダルについての報告が出ています。アメリカのフォックスニュースが取り上げたものということですが、本来は疾病対策に供されるべき資金のうちなんと2/3ほどのおカネが濫用されていた疑いがある、しかもその結果は内部調査に基づくものである、ということだそうです。

これを受けて、主な西欧ドナー国はGFへの出資を当座見合わせる等の措置を講じたようですが、これまでダボス会議などスポットライトの当たる場所で称賛を受け続けてきたGFを巡る話だけに衝撃は小さくないようです。ちなみに日本がどうするか、についてはメディアの報道もあまり目立たず、正直言って全く承知していないのが現状です(どなたか知ってたら教えてください)。

記事では詳細が触れられていたわけではありませんが、このような話が公になるまでのプロセスが、かつてなく短く、しかも速い時代になって来ていることを改めて実感します。何十年もしてから公開される外交文書などが明らかにする、塩漬けになったような醜聞とは全く異なり、ほぼ現在進行形で語られるそのスピードは、社会正義そのもののあり方を強く規定するのではないかと思います。

中東でドミノ倒しのように発生している民主化要求デモも、土壌としてはこれに近いものがあるのではないかと思います。総合的には悪くない話、だと思うのですが、同時に得体の知れない危うさを感じざるを得ない気がするのは何故なのでしょう。このあたり、時間を使って少し考えてみたいと思います。