新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

トウホクは経済開放の試金石?

4月23日号のBusinessには、震災後の復興は東北の経済をいかに解放するかにかかっている、という何ともステレオタイプの論評がありました。曰く、大量移民やカジノなどを目途とした経済特区化だそうですが、地元がそう望むならいざ知らず、それが日本にとって優先的なチョイスになるか?と問われれば、必ずしもそうではないと言わざるを得ないと思います。

経済発展と民生は、多くの場合互恵的に許容しあえるものだと思うのですが、経済発展がもたらす外部経済効果が負の要素を大きく持つ場合、そこにせめぎ合いが起こります。大量移民がもたらす文化的軋轢や、カジノがもたらす風紀の乱れなど、それら外部「負」経済(ほんとは「不」です)についての議論を経ぬままの「経済さえ良くなれば」的な劇薬は、復興へのシナリオ作りにおいて議論される価値は認めますが、万人が認める処方箋にはならないだろうと思われます。

せっかく週刊誌のタイトルがThe Economistなんですから、そこまで筆を深めた上で、これは見かけより深刻な議論である、くらいの論評はしていただきたかった。分析も切り込みも、いかにも表層的で、頭でっかちなデスクワーク中心のジャーナリストが書いた駄文以外の何物でもない記事という印象を受けました。ごくまれにぶち当たる「ダメ記事」の一つですね。