新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

オバマ大統領は経済音痴か?

6月2日号のLexingtonは、アメリカ大統領選の争点の一つとなっている「階級闘争」議論に焦点が当たっています。すなわち、経済成長よりも雇用の増大を目指そうとするオバマ大統領が、共和党のロムニー候補が投資ファンドを率いていたことを批判材料とする(カネ儲け主義で雇用に冷たい)ことについて、雇用を生むのは経済成長であるというごく当たり前の経済学のロジックを引用してさらりと批判しているわけですが。

読者コメントで秀逸だったのは、「投資家は起業家ではない」と言う視点から、ロムニー候補こそ経済が解っているというロジックに疑問を投げかけたコメントですかね。「彼が実業家だったら支持するのに」という考えは意外と広く共有されているのではないでしょうか。また、「儲かっている企業は雇用創出につながるような再投資なんかしない。よりリターンの高い株や証券に投資する。」という指摘もなるほどと思わされます。経済を勉強すべきはLexingtonである、と言わんばかりの強烈なコメントは、大切りなら座布団2枚!と言う感じですかね。

他方、労働者への配慮を打ち出すオバマ大統領が割と多くの有権者から社会主義者扱いされるあたりはさすがにアメリカだなあと言う感じがします。アメリカは、金持ちのための国という認識はその部分では外れていないのかなと再認識させられるところがあります。まあ、オバマ大統領も経済の基礎が解っていないというわけではなく、彼的にはそれがベストの選挙戦術だと思っているからそうしているという側面が強いのではないかと思いますが。