新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

勝負の流れ

6月23日号のCharlemagneは、欧州危機の今後をドイツ主導の銀行組合結成と地道な努力による信頼の回復に託さざるを得ない現状と、それが物語るドイツ主導のヨーロッパ経済という近未来について示唆的な論評を載せています。今週後半に行われる欧州首脳会議では、主にスペインの銀行を救済すべく、銀行に対する直接支援を行える枠組みが議論され、銀行組合の創設へと動いてゆくことが予想されていますが、実質的にドイツが主導するこの流れについて、ドイツが各国に求めるのは「地道な努力」以外の何物でもありません。その実情を以て信頼の根拠とするしかない(まじめに働いている会社は信頼される、と言うのと同じロジック)のが欧州の現状ということですね。

そのかじ取りを任される立場にあるメルケル女史は、この流れをどう読んでいるのでしょうか。どっちに転んでも所詮ドイツ主導でないと動かない、という見方もあれば、財政規律の回復は絶対にやり遂げないとヨーロッパは今後長い間低迷する、という見方もあろうかと思います。自民党政治のしがらみに絡め取られ、バブル対策を小出し・後出しにしかできなかった日本は、その後長い低迷期を味わいました。その意味では、今がまさに勝負の流れを決める分かれ目であろうと思います。

メルケルさんを見ると、若いころは多分かなり可愛かっただろうなと思うのですが、やれることとやらなくてはならないことをしっかり判った政治家として、今が一番輝いている時なのではないかとも見えますね。今後の成り行きが注目されるところと思います。