新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

対話の限界

2月2日号のBanyanは、永いこと政権与党が変わらないシンガポールに於いて見られる水面下の変化と、それに対する政権与党の反応のギャップについて興味深い話を伝えてくれています。

それによると、1959年以来政権の座にある与党が先ごろ行われた補欠選挙で野党候補に10%以上の差をつけて敗れたのだそうで、変化を求めるシンガポール国民の考えが反映された結果と受け止めるべきところ、与党の反応は「政権交代のリスクがない補欠選挙だから発生した大差」という反応なのだそうで。

女性一人当たりの出生率が1.2と世界最低レベルのシンガポールは、今後の少子高齢化で日本と同じかその先を行くモデルなわけですが、今後予想される深刻な労働人口不足にどう対応するのか、移民を奨励すればその分賃金市場は下がるわけで、そのような変化に国民が耐えられるのかなど、「今までと同じ政策が今までと同じ幸福を保証しない」ことが見えているわけです。だとしたら、国民の選択肢に政権交代が入ってこないとは、誰も言えないのではないかと思うのですが。