新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

飲みたくない毒

3月23日号のLeadersには、1971年に起こったバングラデシュ独立戦争に関連した戦争犯罪に関する裁判についての論評記事が出ています。

1961年にイスラエルが行った、旧ナチスのアドルフ・アイヒマンに対する裁判(公開され、証拠と反証により、法に則したもの)を手本と考えた場合の差異について細かく分析してくれています。

民衆は極刑を求め、一部の証人は直前に誘拐されるなどの妨害により証言できず、裁判官は途中交代し、弁護士には十分な時間が与えられないまま死刑判決が繰り返されるというような流れについて、およそ考えられるかぎりバングラデシュ政府の言う「法治システムのモデル」とはかけはなれた「完全な失敗」であったと断じています。

公の裁きがこのような水準で行われたと言う事実は、いつの日か自らの歴史を誇りを持って振り返りたい未来のバングラデシュにとって、The Economistが言うように「やがてその水を飲みたくなる井戸に毒を注ぐ」ことになったのではないかと思います。