新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

787の辿る道

1月19日号のBusinessには、最近トラブルが相次ぐボーイング787型機の開発と運用を巡る航空業界についての記事があります。日本のメディアは、その35%が日本メーカーの手によって作られたということもあってか、トラブルの発生を深刻なものと受け止める動きが強いようですが(そしこの心配性が日本のモノ作りを支えているという見方もあるかと思いますが)、The Economist曰く、歴史を振り返れば人類初の商用ジェット機であったデハビランド・コメットも、そののち大型機の先鞭をつけたダグラスDC-10も、初期的なトラブルに連続して見舞われ、一時運行できなくなったけれど、結局トラブルを解決して立派に運行されるようになったじゃないかと。
ま、確かにそうなのかもしれません。というか、きっとそうなのだろうと思うのです。ガラスが割れたり、配管から漏れがあったりすることは、日本的にはあってはならないことかもしれませんが、逆に現場からのフィードバックに基づくカイゼンである程度対応できる要素ではないかと思われますし。

少し気になるのは新しい技術であるリチウムイオンバッテリーがそのトラブルの原因ではないかとされ、対策が取られようとしていることについて、同じ技術はクルマやパソコンにも使われているため、対策のフィードバックがこれら航空機以外の用途についても反映されるんでしょうね、ということくらいですかね。

クルマだって、しばしばリコールが行われ、パソコンのプリンタも調子が悪くて修理に出したら、保証期間を過ぎているのに「無償で対応します」と言われたことがありまして(ということは、メーカー側が機械の欠点を認めたと言うことですよね)、モノを作って使うというのは、要はそういうことなわけで。

作ったものは壊れる。問題は、その情報をどれだけしっかりフィードバック出来て、どれだけしっかり対策をとれるかと言うことだと思うのですが、多国籍の部品メーカーが集まったボーイング787の生産体制のなかでそれをやらなければならないことのほうが、実は重要度の高い問題だったりするのではないかと、そんなふうに思います。