新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

つつましき中国?

1月31日号のFinance and economicsには、中国が主導して設立されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)と、国際金融を巡る最近の中国の立ち居振る舞いに関する論評記事が出ています。とても興味深い話です。

それによると、これまで続けてきた国対国(バイラテラル、とか言いますが)の援助から、多対多の「仕組み作り」へとステップアップする中で、中国はまじめに多国間金融の仕組みを学びだしている、ということなのですが、実際にAIIBの設立に関してもたとえばアジア開発銀行などに技術的な指導を仰いでいるのだそうです。

多少国際的な評判のよくない国にでもどんどん援助を出して、自国の建設業者に仕事を取ることを優先させてきたこれまでと何が違うかというと、そこには「人民元の国際化」と言う課題が透けて見えるようです。国として信用されないと、多対多の仕組みを通じた通貨の国際化など果たせない、と悟ったということなのでしょうね。

そういった視点から現在の中国を見れば、確かに汚職追放は苛斂誅求とも言える厳しさを緩める気配はありませんし、その意味で本気度を示す必要を中国の指導部は理解していると言うことだろうと思います。

他方で政治的にはそれまで比較的自由だった外国人ジャーナリストの活動を規制するような動きも見られるようで、他のメディアには共産主義先祖返りを懸念する声もあったりします。かの国が傲岸不遜なのはある意味で常態だろうとも思うのですが、こと国際金融の舞台では、学ぶべきは学んで間違いのない仕事をしたいというスタンスなのだとすると、意外にもつつましい側面が見えるような気がします。かつて外資導入に伴い、貪欲に技術を吸収した一昔前の中国企業のように。だとすると人民元の国際化について中国は本気、ということなのかもしれません。