新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2016年を締めくくると

12月24日号のLeadersトップには、2016年が自由主義にとって厳しい年だったことを総括する記事が載っています。曰く、英国のEU離脱や、トランプ米国次期大統領の当選、あるいはハンガリーポーランドをはじめとするヨーロッパで見られたナショナリズムの台頭に加え、ロシアや中国が警戒の度を緩めないことも含め、自由貿易を是とする自由主義は全世界的に退潮傾向にあった、というのです。

なるほどたしかに、民主党政権時代にあれほど警戒されたTPPにしても、今や日本が推進する立場にある、なんていう絵姿は、自由主義の退潮という大枠の中でないと説明がつかない、と言えるかもしれません(慎重を期して?推進を決めた政策を、世界の潮流が変わったからという理由では変えられないのが今の日本)。

元来、自由貿易推進派のThe Economistとしては、踏んだり蹴ったりの年だったのかもしれませんが、哲学として自由貿易の価値に疑念を挟んだりしないのがこの本の偉いところ。技術革新と、新しい仕組みでよりよい世の中を築くため、来年こそは良い年に~もとい、自由主義経済の恩恵を見直す年に、したいしするべきではないか、というのが記事の主張です。

そういう流れで2017年を展望すると、日本は今のところ自由貿易の恩恵の方が大きそうなので、保護主義を唱える勢力が台頭するという流れにはなっていないようですが、トランプ新政権がむしろ加速させかねない保護主義的な流れとの対峙が課題になるかもしれない年、というふうに整理できるのではないでしょうか。