新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

企業の社会的責任について

1月19日号の特集記事は、CSRすなわちCorporate social responsibility (CSR)に関するものです。「企業の社会的責任」と翻訳されていますが、元来The Economistはこの考え方、すなわち企業が本業以外のフィランソロピーや社会貢献を「求められる」ことに懐疑的なスタンスを取ってきました。日本でも時折「本業でもうけてきちんと納税すること」こそが何よりの社会貢献で、それ以外の社会活動は不要、とする意見が根強くあるのと考え方を一にしています。The Economistの主張は「経営者がそれ(CSR活動)に使おうとするお金は株主のもので、株主は本業以外のことにカネを使うことに同意するだろうか」というものです。

しかしながら此処へ来て、どうやら社会の潮流が一段の高みへと向いていることをThe Economistも認めざるを得なくなったようで、CSRに取り組むさまざまな企業の実例をあれこれと挙げながら、「CSRばかりやって本業が駄目な会社は当然駄目、本業が良くてもCSRに関係ないとのスタンスを取る会社は将来的にリスクが増大し、本業とCSRの両方に強い会社こそが成功のチャンスをくれるだろう」との宗旨替え(?)を明らかにしました。この特集記事はいわばそのための禊ぎだったかもしれません。