新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2009-01-01から1年間の記事一覧

ごくごく小さく

7月18日号のEconomic focusです。日本でもようやく名前が知られるようになってきた「マイクロクレジット」について、貧困層が貧困を脱出するための特効薬であると証明する統計などの証拠はないが、零細起業家が事業を始めるための資金としては有効である、た…

違う見方

7月18日号のBusinessで取り上げられているキリンとサントリーの経営統合交渉は、日本のメディアとは少し違った見方を提供してくれています。その一つは、「これまで日本で合併と言うと、敗者の戦略であった(が、今回は違う)」との総括です。必ずしもそんな…

変わらないもの

7月18日号です。Asiaでは、韓国資本による北朝鮮のケソン工業団地が依然として活発に操業していることについての懸念、もしくは批判的な指摘がありました。が、読者コメントには「ミサイルを売って外貨を稼がせるよりまし」との投稿も。Middle East and Afri…

外から見た変化

7月18日号です。まずLeadersですが、昨年9月以来の金融危機をマクロ経済学の失敗であるかのように扱う議論はおかしい、というThe Economistならではの大上段に振りかぶった論評がトップに来ています。確かに、経済学の理論自体はなんらの毀損を受けておらず…

ノムラへの期待

7月11日号のFinance and economicsに、リーマンブラザースのアジア・欧州部門を買収した野村證券のその後に関する記事が載っていて、ちょっと興味深かったので。リーマンを買収することによって野村が得たもの、それは欧州や中東での営業基盤だったわけです…

人民元が国際決済通貨に?

7月11日号のFinance and economicsですが、いささか非現実的と言われてもおかしくない段階だと思うのですが、人民元が国際決済通貨になる可能性についての論評がありました。もともとは、ドルの価値下落で大損をしつつある中国の財務当局者の発言として、国…

地球温暖化対策の話

7月11日号Internationalに、ラクイラサミットの不調を予言するかのような〜前進するとの期待は少なかったと言えばそうですが〜話が載っています。途上国の利益を喧伝するインド交渉団の代表、シヤム・サラン氏の「責任は先進国にあり」との議論は、彼の名前…

ウィグルは中国の脅威になるか?

7月11日号のLeadersおよびすぐ後のBriefingで、ウルムチ暴動に関する詳報とあわせて「はたしてウィグル問題は今後の中国の脅威となるか?」との読み解きが出ているのですが、The Economistの見解は大変興味深いものとなっています。すなわち、中央アジア諸国…

中国の対アフリカ援助、その新しい形

7月4日号のMiddle East and Africaに、中国政府による対ジンバブエ支援の話が出ています。ロバート・ムガベによる圧政で悪名高いジンバブエで、中国からの借款が彼の政敵でもあるモーガン・ツヴァンギライ首相の勢力に供与されたとの報なのですが、The Econo…

なまずの騒ぐ日

7月4日号のBanyanは、「なまずが騒ぐと地震がおきる」という日本の言い伝えを参照しながら、過去の地震による日本の被害の歴史と、それでもなお備えが十分とはいえない現状、特にウォーターフロントに林立する高層ビルと柔らかい土壌の関係などの不安要素、…

教育の機会均等について、ほか。

7月4日号のLeadersです。先ずトップはモスクワ訪問が予定されているオバマ大統領と、それを迎えるロシアの間で交わされるであろう軍縮を巡る虚々実々のやりとりについて。ちょっと意外だったのは、公開初日にもかかわらず50件を越す読者コメントがあり、その…

高齢化社会

6月27日号、ちょっと戻って特集記事は人口高齢化についてです。世界の高齢化問題の、いわばトップを切っているのが日本ということになりますが、ちょっと興味を引いたのは中国の高齢化がすごいスピードで進展しているという報告でしょうか。一人っ子政策や平…

禁輸がもたらすもの

6月27日号のFinance and Economicsで、昨日からちょっと前へ戻るのですが、中国がボーキサイトやマンガン、コークスなどを輸出禁止にしたことについて、国内産業の保護を優先させるのは自由貿易の観点から問題だ、というような記事がありました。これらの鉱…

払えない、払いたくない

6月27日号のFinance and Economicsに、アメリカの住宅ローンに関する興味深い調査結果が載っています。住宅価格の下落により、住宅価格の実勢がローン価値を大きく下回るようになったことで、「住宅を売却した以上の返済義務を負わない」という契約条項を利…

悩める国

6月27日号のAsiaですが、インドに関する二つの記事が載ってます。ひとつは西ベンガル州を中心として広がる「毛沢東主義者」と呼ばれる貧困層の反政府活動について。ネパールでも有名になりましたが、この地方の底辺の貧困層にとって本場・中国では歴史的遺産…

長い目で見た財政

6月20日号のEconomic focusです。オバマ大統領の経済対策アドバイザー・不況対策学識経験者委員会という諮問委員会の議長をしているクリスチーナ・ロマー女史が、はたして不況から脱出できるかどうかという現状と、1930年代後半の不況を比べてとても興味深い…

遅い!

6月20日号のLeadersとBusinessに、久しぶりに日本の記事が載ってたのですが、ある意味ステレオタイプな話ながら「日本株式会社」の構造改革の遅れに関する批判、でした。細かい誤解や伝統的な無理解も垣間見えるのですが、最近の日本経済を見るに、改革の停…

全体主義、もしくは権威主義のほころびとは

6月13日号のMiddle East and Africaですが、私の注目はイランの大統領選挙後の混乱についての報告記事と、それに対する読者コメントです。面白いことに、イランやイスラムを批判する欧米の読者以上に、イランもしくはイスラム社会に属する方々からのコメント…

貸したり、借りたり。

6月13日号のLeadersを読んでて思ったこと。まずひとつ、アマゾン流域を中心とした熱帯雨林の伐採とCO2排出の関係について。木を切る→CO2が大気中に出る、といってもそのCO2は増えたわけではなく、もともと木の中に蓄えてあったわけで。純増分との微妙な差が…

公的債務と言う憂鬱

6月13日号、Leadersのトップはアメリカを始めとする先進国で高まりつつある公的債務への懸念について、です。 そりゃあ皆さん心配でしょうって、稼ぎ(GDP)に対する借金の割合で言ったら、先進国と言われる国々ほど実態は悪くなっていることに驚きを禁じ得ま…

ボディブロー

6月3日号のLexingtonは、GMの破産法適用に関して、アメリカンドリームの一パターンであったと思われる高卒ブルーカラーのライフモデルがもはや通用しないという現実についての報告です。高卒で、自動車製造ラインに入り、家を持ち、家族を養い、30年ほど働い…

ロシア、強さの裏には

6月3日号、LeadersのあとのBriefingは、原油価格の下落に見舞われたロシアの現状についての報告です。短い記事ながら、実に読み応えがあります。ソビエト崩壊以降、市場経済や資本主義への衣替えを中途半端に終わらせたロシアが資源価格高騰で潤い、その中で…

自動車産業は恐竜か

6月3日号、Leadersのトップです。連邦破産法の適用を受けて、切り売りされる運命となったGM社についての記事ですが、自動車産業を恐竜扱いするという、ある意味では屈辱的ともとれるタイトルがついています(Detroitosaurus wrecks)。これを見て、日本の自動…

米国債は安全か

5月30日号です。 今週号のButtonwoodsは、世界の通貨である米ドルを発行するアメリカ政府の国債が、決してリスクのない投資だとはいえない、との論評です。中身だけ見れば今に始まった話ではなく、為替のリスクもあるでしょ、的な話なので、なぁーんだ、と思…

脆い理論武装

5月30日号のInternationalで考えさせられたのは気候変動に対する対応があまりにヤマカン頼みではないかとの批判と、さらなる英知の動員を呼びかけるその結論について、でした。確かにヤマカンかもしれません、その多くは。科学的に見れば「地球全体は冷えて…

お決まりの。

5月30日号のBanyanは、この時期のお約束どおり天安門事件と中国、です。文中で記者が感慨深げに振り返っているとおり、20年前はだれが現在の中国を予想しえたか?共産主義体制を保ったままの安定と繁栄と、そして将来への布石など、その当時は望むべくもあり…

大きいか、小さいか、ではなく

5月30日号、Leadersのすぐ後のBriefingです。オバマ大統領のものとおぼしき手の写真がついた記事のタイトルはThe visible handとなっていて、かのアダム・スミスが国富論で説いたという「神の見えざる手」(The invisible hands of God)をもじってつけられた…

雲の切れ間

5月30日号のLeadersを見ています。 トップは北朝鮮の核問題で、今週はAsiaのトップも北朝鮮です。Leadersでは、北朝鮮単独の脅威というよりもイランの核問題と合せ技的に見ることで脅威が増すこと、そしてそれを抑えるには北朝鮮に対して中国が真剣な対応を…

アメリカが、いなくても。

少し長めの出張から帰ってきました。ネット環境やら何やらで苦労したため、しばらくぶりのアップです。さて、5月23日号は表紙に携帯電話をかけるインドの若い女性を載せていて、インドの総選挙が関心の的だったことを伝えています。Leadersですが、そのイン…

前途多難

5月16日号です。Leadersのなかで目を引いたのは、イスラエルのネタニヤフ首相とアメリカのオバマ大統領の会談の様子を伝える記事ですかね。アメリカの呼びかける和平推進案に対して、強硬派といわれるリクードのネタニヤフ氏はあっさりと拒絶を伝えた模様で…