新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2009-01-01から1年間の記事一覧

ODAよりも

10月10日号のInternationalに、とても興味を引かれる記事が載っていました。 貧しい国から先進国へ出稼ぎに出ている人が、祖国に送金しているおカネの量は、毎年なんとODAの総額よりも多いという話です。しかもODAと違い、直接的に必要としている人へ送り届…

不愉快な正常

10月3日号のLeadersトップは、世界経済危機の後、どうにか流動性危機を回避した世界経済が、それでも成長への軌道を描けず低迷している状況をとらえて、「新しい正常」とは、必ずしも満足を意味するものではないであろう、と極めて微妙な言い方ながら、不況…

ケータイで支払い

9月26日号のトップは、ケニアのサファリコムという携帯電話会社がやっているM-PESAという送金システムの成功と、それを脅威ではなく機会と捉えつつある金融界・携帯電話業界の視点について、でした。日本では、ケータイで使える送金システムは携帯電話会社で…

実現しそうもない話

9月19日号のLeadersに、国際金融取引に対して各国が課税する、いわゆる「トービン税」導入の機運を警戒する記事が載っています。元々この考えは経済学者ジェームス・トービン(企業価値と市場の期待を比較する、いわゆる「トービンのq」を提唱した方です)が…

自由貿易!

9月19日号のLeadersトップはアメリカが中国製のタイヤに関税を課するとのニュースについて、自由貿易を阻害する懸念をストレートに表明した記事でした。で、びっくりしたのは読者のコメントがまだ火曜日だと言うのに263件も来ていたことですかね(多分まだ増…

それも遺伝子のせい

9月19日号です。連休のため配達が遅れているらしく、まだウェブ版の目次を眺めた程度なのですが、Science and technologyに、きわめて個人的な話ながら一寸気になる記事があったので。アメリカか、あるいはヨーロッパの統計らしいのですが、「父親と同居して…

宇宙民営化?

9月12日号です。特集は、安定と復活の兆しが強まるインドネシアについて、でした。カリマンタンとスラウェシの貧富の差や宗教を巡る国内の不安定要因など、もっと日本が関心を持ってしかるべき話についても深く掘り下げられています。アジアで仕事をされる方…

財政・金融政策のあり方について

9月12日号です。まずLeadersですが、公的資金により救済された金融機関の「乳離れ」と、求められる公正な規制について、ユドヨノ大統領の下で安定してきたインドネシアの「復活」について、メディアが危ないと煽るばかりのオバマ大統領による新健康保険に対…

総選挙の見通し

9月5日号のEuropeには、近づくドイツの総選挙についての観測記事が出ています。 どうしても日本のメディアでは分析が手薄になりがちなのですが、第二極たるヨーロッパの趨勢を見るためにも、また日本の総選挙を総括する意味でも、ドイツでどのように選挙が行…

ドッカーン!

9月5日号です。表紙が浮世絵の富士山で、そのてっぺんあたりに爆発をあらわす吹き出しと、カタカナで「ドッカーン!」という字が書かれています。長いことThe Economistを読んでますが、表紙に日本語が書かれた号があったかどうかあまり記憶にありません。さ…

日本に似てきた・・・かな?

8月29日号のEconomic focusでは、先日アメリカのジャクソンホール市で開催された中央銀行総裁会議の様子がおおまかに報告されています。先進各国の中央銀行総裁の間で交わされた経済運営の方針に関する議論の中核は、まだ足元の確かでない経済の回復基調のな…

EUの憂鬱

8月29日号のCharlemagneですが、夏休みが終わってブリュッセルに戻るEUの官僚たちを待ち受ける憂鬱についての論評です。いわく、EU発足以来世界経済危機までの間、休むことなく進めてきた国境自由化と通貨統一に象徴される経済広域化・自由化に対して、各国…

本気モード

8月29日号のEuropeです。間違いなく目を引いたのは、トルコのエルドガン首相がクルド人との平和構築に向けて発したマジメなメッセージについて。キプロス問題と並んで、国際社会で彼の国が抱える大きな問題の一つについて、トルコ政府側からクルド語の解禁や…

東京は世界でトップクラスの。

8月29日号のEconomist.comには珍しくDaily chartの話題が出ています。「もう一つのBig Mac Index」ということで、オリジナルのIndexがビッグマックの価格を基準に各国の為替レートをはじき出す、というものだったのですが、こちらは平均的な労働者がビッグマ…

忘れない

8月29日号がネットで流れてます。夏休みモードのうすっぺらな本、ではなくなったみたいですが。先ずはLeadersです。Web版のサイトを飾る日本の総選挙の写真とは裏腹に、大企業の復権、アフリカでも始まった人口減少、バーナンキより他に適任者がいないFRB議…

財源は、ある!という話

8月22日号のEuropeには、一ヵ月後に迫ったドイツの総選挙についての話が載っています。 今のところ優勢が伝えられる与党キリスト教民主党と連立を組むFDP自由民主党の政策は、税制の抜本改革による財源確保だそうで、どこかの国の万年与党がお題目のように唱…

難しい話

8月22日号です。出張やら何やらで、ちょっと書き込みのタイミングが遅くなりました。 Leadersでも個別記事でも、日本の総選挙の話が出ていますが、The Economistは随分前から自民党の敗北を予言しています。もはや規定路線、と言うことだと思うのですが、そ…

日本はアジアの何だっけ

8月15日号のBriefingです。Asiaは、という言い方で米欧の鈍い経済回復とはまるで異なるV字回復を見せていることについての分析がなされています。いつもながら、というか残念ながら、言及されるのはフローの数字ばかりで、アジアが経済回復を成すに至ったイ…

十年一日、ではなく。

8月15日号です。「お盆休み」でしばらくぶりのアップです。Leadersにはアジア経済の急速な復活、アメリカ離れを加速させるブラジル、廃れる固定電話、ボーイングとエアバスの死闘、科学におけるガリレオの業績再評価などが載っていて面白いのですが、今日は…

正論

8月8日号です。Leadersでは、EU域内では今ひとつながら、世界的には輸出で不調のEUを牽引するドイツ経済について、次に犯罪暦のある人に対してあまりに厳しいアメリカの性犯罪取締りについて、さらに北海油田の枯渇というシナリオを抱えて方向性の見えないイ…

そんなに?

8月1日号のBusinessに、中国の吉利汽車(上海の自動車メーカー)の成長戦略についての報告が載っていまして、それをめぐる読者の投稿が興味深かったので。Webで見ただけなのですが、おそらく同社は純然と民間の会社だと思うのですが、それが現在9つの異なっ…

右だとか、左だとか

8月1日号のInternationalは1本だけでして、欧州を中心とした世界各国の「中道左派」勢力の現状についてでした。一言で言うと現状にはばらつきがある、大雑把にいって欧州では苦戦しているが、その他の国(たとえば南米)では必ずしもそうでない、という多面…

見かけほど悪くない

8月1日号、Middle East and Africaのトップは「見かけほど悲観的ではない」とのタイトルで、中東和平問題の直近事情を詳報しています。たしかに、二国(イスラエルとパレスチナ)の存在を認め合う方向について、双方の強硬派がこれまでの峻絶から多少なりと…

黄色かったり青かったり

8月1日号のUnited Statesですが、国民保険をめぐるオバマ政権の綱渡りな政権運営と、政権与党のなかで展開される熾烈な政策論争、そして民主党保守派(財政面から見た)とリベラル派の対立構造などについて。本来は民主党なら誰にでも投票するイエロードッグ…

期待値

8月1日号です。Leadersのトップは、オバマ大統領の支持率低下と国民保険および地球温暖化対策への政策的傾倒の関係について。伝統的な民主党の政策に、無党派層が疑問符を突きつけたのでは、との分析です。この流れに、やがてアフガンも連なるのでしょうか。…

慰めにならない

金曜日なので、ネットには8月1日号が流れているのですが、しつこく7月25日号から。いつもピリ辛の短信を載せているButtonwoodでは、豚インフルエンザ(最近は「新型〜」と呼ばれることが多いですが)のもたらす経済への打撃について、対応用意が進んでいるこ…

アラブの変化

7月25日号の特集記事はアラブ社会について、です。さすがアラビアのロレンスを生んだイギリスだけのことはあって、アラブ社会がどう言おうと、国々の成り立ちからの歴史を客観的に見ることにおいてThe Economistには一日以上の長があるように思えます。特集…

世界のウォシュレット

7月25日号のFace valueはTOTOの張本邦雄社長についての記事が載っています。いまや日本はおろか、アジア諸国をも席巻する感のあるウォシュレットですが、まだまだ西欧から見れば遠い技術という雰囲気の書き方ですね。29日夜現在で、15件もコメントが来ていた…

アラブをどう見るか

7月25日号です。 ざっと見渡して、衆院選前なのに日本の政治経済に関する記事はほぼゼロで、Face valueのページにTOTOの社長さんの記事が出てたくらいです。というわけで、今週はイギリス人になったつもり(?)で編集のキーワードになっているアラブのこと…

高いか、安いか

7月18日号のFinance and economicsには、毎年おなじみのThe Big Mac Indexが載っています。世界各国のビッグマックの値段を比べ、そこから為替の高い・安いを見てみようという試みです。現在、アメリカで買うとビッグマックは3ドル57セントだそうで、確か日…