新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2014-01-01から1年間の記事一覧

インド新政権への期待

既得権の重しは、ときに国のダイナミズムを失わせるほどで、民主主義政治のありがたいところは政権交代プロセスを経てそれを一掃できることであろう、という経験は、2009年の日本で私たちが実感したところであったろうと思います。選択肢の貧弱さは、結果的…

海外直接投資の属性

5月10日号のBusinessは、政治的混乱が続くエジプトに、しかしながら堅調に流れ込む外資とその繁栄ぶりについて紹介しています。 「アラブの春」による非軍事政権は結局長続きせず、今月行われる大統領選挙では軍との関係が強いアル・シシ元将軍が最も有力な…

次はヒラリー?

2014年もまだ半ば、なのですが、The Economistに限らずアメリカの政局は今年の中間選挙をすっ飛ばして、2016年の大統領選挙へとその焦点を移しつつあるのかもしれません。5月10日号のLexingtonは、ヒラリー・クリントン元国務長官が有力候補として注目されて…

影の銀行、について

The Economist誌の5月10日号は表紙とLeadersのトップ記事、そして特集記事が銀行ビジネス、なかんずく「影の銀行(shadow banking)」に焦点を当てたものとなっています。日本では「ノンバンク」と言われた、人のおカネを預かって運用すると言う伝統的な銀行業…

シンプルだからでしょうかね。

The Economist5月3日号のFinance and economicsには、当ブログが今年1月9日に注目したフランスの経済学者、トーマス・ピケッティの近著「21世紀の資本」の英語版がアマゾンでベストセラーになったことを取り上げ、その背景や主張に関して繰り広げられている…

第三の矢が向かう先とは

5月3日号のBusinessには、日本のメディアにはさほど注目されていないかもしれない自民党の企業統治政策に関する取組みについて、強い期待を込めた記事が載っています。 曰く、オリンパス事件を嚆矢として社外取締役の役割や、取締役会が果たすべき企業統治に…

アメリカは果たして

5月3日号のLeadersそしてUnited Statesの冒頭記事は、シリア、ウクライナそしてアジアの各地で同盟国や紛争当事国に対するアメリカの態度をつぶさに分析することを通じて、はたしてアメリカは紛争勃発に伴う同盟国への防衛義務を果たすのか?という議論を展…

ロボットはこんなことにも

4月26日号のScience and technologyには、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のステファン・エルフィング博士が研究した、ロボットによる個体同志の出会い(男と女)のシミュレーションに関する面白い記事が出ていました。博士は4体の同じ仕組みを持つロボットを…

税金、アフリカにとって悩ましいこの制度が日本では。

4月26日号のFinance and economicsには、アフリカの国、ブルンジで本格的な徴税制度がなんとか稼働しだしたという記事が載っています。彼の地でまともな徴税ができるようになったとすればとてもエポックメーキングな話だろうと思うのですが、そうなると出て…

新しいアイディアではないけれど

The Economist4月26日号のScience and technologyには、洋上原子力発電施設に関する短い記事が載っています。それによると、考え方自体は何も新しいものではなく、ロシアは現在大型のはしけに載せた原発を建設中なのだそうで、福島第一原発の教訓から1)水…

オーストラリアの移民

4月26日号のChinaには、量・質の両面で目立つオーストラリアの中国系移民についての話が出ています。そも、かつて有名だった「白豪主義」とは、ゴールドラッシュの前後急増した労働者を中心とした中国系移民を制限する目的で導入された政策だったのだそうで…

日本について:今、世界が何を見ているかと言うと

4月26日号のAisaのトップ記事は日本と周辺諸国、特に韓国・中国との関係に注目しつつ、それらが遠くない将来に向けて改善されるのでは、という観測記事を載せています。 なかなか日本では出会わないトーンのメディアによる観測だと思いつつ、その中身を見て…

超高齢世界

4月26日号のLeadersのトップ記事は、世界にとっての高齢者問題に関する考察です。記者が気づかなかったのか、はたまた世界にとってのモデルになると思わなかったのか、超高齢化で先陣を切っているはずの日本について全く言及はなかったのですが、世界におい…

スペインの憂鬱

4月19日号のBusinessには、オリーブオイルやワインの生産に関するスペインの現状についてちょっと興味深い記事が載っています。実は先週仕事でスペインに行ってきまして、大変きれいで落ち着いた国に見えたのですが、それがゆえに興味をひかれたということも…

突き進む、ということについて

何か大きなものが一定の方向に動いてゆく、もしくは肥大化してゆく過程にあるとして、その様子を見ている人がその変化がしばらく続くことを予想したとすると、聞いている方は一定の妥当性を感じるものだと思います。そしてその変化の果てに何か破局的な変化…

中国のNGO

ネットでは、4月12日号が流れています。 Leadersの3本目にちょっと目を引く記事があったので、今日はそれを見ています。 中国でここ数年、社会問題などに対応するいわゆるNGOの数が増えているという報告です。1990年前後はほとんど存在していなかったの…

多環芳香族炭化水素◆【略】PAHについて

DHAやEPAは良く聞くけど・・、という向きもおいでかもしれませんが。 PAHは、焼き肉などをやったときに生成される成分で、DNAを損傷し、大腸がんリスクを高めることで知られているのだとか(日本ではあまり注目されてないみたいですけど?)。で、焼き肉をし…

気にならなくても

4月5日号のFinance and economicsには、日本の経済特区についてThe Economistならではの論評が出ています。日本に暮らしている日本人の目には気にならないことでも、外から見ると目につくという典型のような話かもしれませんが、たとえば日本で外国籍の医師…

限界化する台湾

3月29日のBanyanは、その政治的な立場や役割の重要性がどんどん希薄化する台湾と、2016年の総統選挙で苦戦が予想される与党・国民党についてのもので、ウェブ上では最もrecommendされた記事となっていますが、確かに読み応えのある内容です。 最も目を引くの…

女性の敵は

3月29日号のbriefingは、女性の社会進出が進まない日本と、状況改善を志向するアベノミクス、なのに笛吹けど踊らず、といった感もある日本の現状についてかなり長文の詳しい記事となっています。数字的には改善の方向性が窺えるものの、依然として専業主婦を…

ロボットが変える日常

3月29日号のLeadersトップとSpecial reportは、最近各方面で目立つロボットの社会進出についての記事です。産業用ロボットはすでに相当広範囲で使われていますし、生活の中にもお掃除ロボットはごく普通に存在しています。ハイテクの映画撮影や戦争にもロボ…

スマトラの山火事

3月22日号のAsiaから。 地域にとっては結構重要な話なのに、日本ではほとんど報道されない出来事というのが意外とあったりするのですが、スマトラでは年中行事と化した感さえある山火事の話もその一つだろうと思います。狭いマラッカ海峡を隔てたマレーシア…

中国市場に見る消費者保護のありかた

3月15日号のBusinessには、中国が新たに施行した消費者保護法がもたらす変化について、外資差別が強まることへの懸念が示されています。 消費者保護の名を借りて、苛烈な規制をかけ、その実外資系企業に対してのみその実行を迫るというパターンは、最近の中…

不公平は減る方向にある、と言う認識について

3月15日号のLeadersトップ記事およびInternationalは、縁故主義経済の現状と先行きについて、ちょっと見には意外なほど楽天的な記事が載っています。 曰く、縁故主義による不公正な競争環境が強いのはロシア、ウクライナ、マレーシア、フィリピンなどの諸国…

原発問題をThe Economistが読むと

3月8日号のAsiaには、日本の原発再稼働問題を巡るThe Economistならではの観察が窺える記事があります。 1)都知事選で再稼働反対を明言しながら人気のある小泉元総理が応援する候補が負けたこと(記事にホソカワ、の名前はありませんでした) 2)原発に慎…

ああウクライナ

ネットでは3月8日号が流れています。 Leadersのトップは、当たり前かとも思いますが、ウクライナ情勢についての記事です。 ウクライナで仕事をしたのは2009年のことでした。東西2か所の都市を訪れたのですが、東はロシア寄り、西はヨーロッパ寄りと言われる…

デモクラシーへの挑戦、でも誰が?

出張などがあって、ちょっと間が空いてしまいました。 ネットでは3月1日号が流れています。Leadersのあとに、大変興味深い長文のエッセイが掲載されています。その内容は、最近どうもうまく行かない民主主義もしくは民主化の流れに関する分析に基づくものな…

疑う世代

2月1日号のSchumpeterは、長期的な傾向として民生品メーカーやサービス業など、いわゆるB to C企業のブランド戦略が権威主義から「顧客との友達化」へと変質して来ていること、にも拘らず、意図せざる誤解と戦うことを強いられる事例が後を絶たないなど、「…

ロシアの憂鬱

ネットでは2月1日号が流れています。いよいよ開幕が間近に迫ったソチオリンピックになぞらえて、表紙はロシアのプーチン大統領がペアスケーティングをしている絵になっているのですが、大統領がかっこよくフィニッシュを決めている向こうで、ロシア人とおぼ…

今年も、Big Mac Index

1月25日号のFinance and economicsには、毎年恒例のBig Mac Index (各国で販売されているビッグマックの平均的な価格で通貨価値を評価する)が出ています。現在、アメリカでは平均で4ドル62セントするビッグマックですが、たとえばノルウェーは7ドル80セン…