新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2015-01-01から1年間の記事一覧

そういう手もありかも

The Economist5月23日号のInternationalには、最近ヨーロッパの国々や、アメリカのビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が部分的に採用して注目されている新しい開発援助の仕組みが取り上げられています。 これまでの開発援助と言えば、学校を建てる場合にし…

独立と連邦制と地方自治

5月23日号、The Economist誌Leadersには、イギリスでその動きが注目されるスコットランド国民党とかろうじて政権を維持することに成功した保守党政権との関係についての記事があります。そもそもの成り立ちが連合王国で、あるいは連邦制に近い国なのかと思っ…

ちょっと気になる数字

The Economist5月16日号のAsiaには、日本における政府による昨今の報道に関する管制的な圧力を懸念する記事があります。「それを読んだ誰かが『頼むから書かないでくれ』と思うほどのレポート」がジャーナリズムの責任だと言い切るThe Economistとしては当然…

アジアでインフラ投資が難しい訳

5月2日号のFree Exchangeは、土地収用に関するインドの事例を取り上げ、途上国ではありがちな話として、地権者との調整がつかないことが大規模投資の妨げになっていることを伝えています。 インドのタタ自動車が、新型車ナノの製造工場として西ベンガル州で…

麻薬について、見解の相違

5月2日号のInternationalは、麻薬を巡る世界の規制がばらついていることを紹介しています。 米欧諸国の中で麻薬取扱いについての規制が緩和される方向にある中、インドネシアで麻薬取締法違反による死刑判決を受けた外国人に対する死刑執行が相次いでいるこ…

報道されないいくつかの話

5月2日号のLeadersとChinaでは、このところ安倍首相の訪米と日米防衛協力のための指針(いわゆるガイドライン)等に関して報道されていてもおかしくない、南シナ海で進む中国の海洋進出に関わる興味深いニュースがいくつか紹介されています。これらは、日本…

ステゴザウルスのヒレ

4月29日号のScience and technologyには、恐竜の化石を丹念に調査して、ステゴザウルスのヒレには二通りの形状があり(楕円形で広いタイプと細くてとんがったタイプ)、さまざまな考察を経てそれがオスメスの違いによるものであろうとの結論が得られた、とい…

中国と焼却工場

4月25日号のChinaには、ゴミ問題に関する中国の取り組み事例が紹介されています。それによると、増え続けるゴミ対策として中国は、2003年から2013年まで焼却工場の増設を進め、そのキャパを10倍にしたのだそうですが、それでもまだ都市ゴミ全体の1/3程度しか…

退化?

4月25日号のAsiaには、出口の見えない政治的不安定さを克服しようとするタイの新憲法について、西欧的な視点に立つ辛口の論評が出ています。 ここ10年近くに渡って、タイの政治を不安定化させている構造は、北部・東北部の農民んを中心とした人口の多数が支…

基地問題と言うのは

The Economist4月25日号のAsiaそしてBanyanには、アメリカの対アジア政策そしてその中に位置づけられる沖縄の米軍基地に関する記事があります。さすがに商業もしくは経済の話ではないだけ、The Economistも安全保障面からの直接的な論評は避けているのですが…

貿易こそ、と言う考え方について

The Economistを読んでいて時々思わされることなのですが、この雑誌は教条主義的と言えるほど「自由貿易」の価値を重んじているのだなあと。 ネットで流れている4月25日号のLeadersですが、ラインナップは地中海をはじめとする難民問題、スコットランドの独…

地方創生は何のために

4月18日号のAsiaは、日本の「ふるさと納税」がそのお礼として配布している特産品が増産されていることなどを挙げ、地方の産業活性化の起爆剤になっていると分析しています。地方とのつながりができると、それを辿って移住する人も出てきたりするわけで。 税…

中国が提示する「ビジョン」

中国が提示する世界進出のビジョンは何か。一言で言えばそれは「交通の開発」である、でも何のための?というのが4月11日号のBanyanの問いかけです。 最近、日本のメディアでも目にすることが多くなった「一帯一路」という考え方がそれにあたります。近隣諸…

仲違い?

4月11日号のAsiaには、昨今の発言から読み取れる安倍首相と黒田日銀総裁の微妙な温度差に注目した記事が出ています。黒田総裁側は構造改革の遅れに苛立っていて当たり前、他方で政府側はとにかく景気回復を、という立場の違いを踏まえたもっともらしい分析記…

なんのために

4月11日号のLeadersトップは、来年の米大統領選に向けたヒラリー・クリントン女史の立候補表明が近いことを予想してか、彼女の立候補に関する論評記事になっています。 経験豊富であること、数多くのアドバイザーを持つがゆえに「対応が見えにくい」政治家で…

スティーブ・ジョブス 2.0

The Economist 4月4日号のBooks and artsは最初に"Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart into a Visionary Leader"という本を紹介しています。スティーブ・ジョブスの人生を綴ったこの本は、彼の死後すぐに世に出たウォルター・アイザ…

時は脳なり

時は金なり、は英語でTime is moneyと言いますね。でも、Time is brainって言われたら? 答えは救急医療の現場では「脳血栓溶解剤」処方までの時間が、脳細胞の毀損を防ぐ最大のファクターであるという考え方を表したもの、だそうです。 4月4日号のScience a…

経済特区の今

4月4日号のFinance and economicsには、世界各国でさまざまな類型的発展を見せる経済特区(Special Economic Zone: SEZ)についての記事が出ています。80年代に中国そして東南アジアで成功事例を見たSEZですが、元々は輸出加工区といって、その地区に進出して…

変化の割合

4月4日号のSchumpeterには、シリコンバレーが男性社会であり、女性の進出が年々難しくなっているという、ある意味で意外な話が取り上げられています。 性差別に基づく不当な扱いを受けたという女性ベンチャーキャピタリストが元の雇用主を相手取って起こした…

うまくやる、ことの難しさ

4月4日号のAsiaですが、興味深いのはマレーシアが内包するイスラム教徒と中華系・インド系住民の折り合いについての記事に垣間見えるこの国独自の変わったシステムのお話でした。 連邦制国家であることから、国中全てがそうと言う訳ではないみたいですけど、…

曲がり角の見方

4月4日号のBusinessには、中国の鉄鋼業がまもなく経験するであろう需要の下り坂の始まりに関する予測記事が出ています。鋼材の生産量は7億5千万トンに近く、消費も7億トン近いという、日本の鉄鋼業に比べてもほぼ7倍の規模を持つ中国の鉄鋼業ですが、中国鋼…

世界が幸せになる方法

ネットではいつもより早く4月4日号が流れています。Leadersを斜め読みしていて目が止まったのは、妊娠中の母体が受ける影響と子供の関係についての追跡調査を取り上げた記事でした。曰く、過去に母体が強いストレスを受けた時代の子供たちは他の世代より勉強…

会社は見えるように

3月28日号のBusinessは、これまでお作法の違いが何度も取り上げられてきた日本の企業統治について、産業用ロボットメーカーのファナックの例を引きながら、望ましい変化が起きているという論評を加えています。 記事によると、投資家から見てつき合うのが難…

四種の神器?

3月28日号のThe Economistは、ブームが続く日本観光の現状を伝えてくれています。アベノミクスによる円安がそのきっかけとなった今回の盛り上がりは、過去の日本ブームに比べるといくつかの違いがあるようです。それは、①中国・韓国・台湾・その他のいずれに…

ヒスパニックとアメリカ

ネットでは3月14日号が流れています。Leadersのトップ記事は、アメリカのヒスパニック系不法移民対策について、ということで2050年の人口予測に基づいた融和策についての記事となっています。どうして融和なのか?というと、今から2050年までの間、日本と同…

賃上げと、そしてインフレと

3月7日号のFinance and economicsには、日銀のインフレターゲット政策について、ある程度肯定的に捉える記事が出ています。曰く、2015年3月までの2年間で2%のインフレを達成するとした当初のゴールこそ実現できないものの、原油の値下がり分を差し引いて考…

遠慮の通じない社会に対して

3月7日号のAsiaには、東京大空襲70周年に関係して、第二次大戦と日本の関係に触れた記事が出ています。曰く、原爆と併せて圧倒的に市民が空襲の犠牲になった事実を、戦後の新たなパートナーであるアメリカに対して「ことを荒立てる嗜好を持たず」(=遠慮し…

いつでも、どこでも、だれにでも

ネットでは3月7日号が流れているThe Economist誌のもくじをめくってみると、Leadersのトップは、冷戦終結後に世界の隅々まで拡散してしまった核兵器の問題に関する記事でした。 冷戦終結から四半世紀を経て、一部で交渉の進展も伝えられるイランの核問題と、…

戦略的にアタマの体操をしてみると

2月28日号のThe Economist誌はBanyanで「埋め立て」を巡るアジアの利害対立事例をいくつか紹介しています。ひとつめは、国境を隔てるマレーシアとシンガポールで、お互いがお互いの埋め立てプロジェクトに難を示す経過になったそうですが、たとえば両国の間…

アメリカならでは?

The Economist2月28日号のUnited Statesには、日本ではちょっと考えられない自治体の行動について大変興味深い記事が出ています。御存知のとおり昨今のアメリカは、シェールオイル・シェールガス景気に沸いているわけですが、国中全てがそうかというと必ずし…