新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ミステリー作家とビジネス

8月25日号のFace valueは作家のジョセフ・フィンダーがハーバードビジネスレビューに寄稿したことが紹介されています。それも単なるコラムではなく、フィクションですが企業経営の核心に迫るケーススタディだったとか。ハーバードビジネスレビューは、日本語版も出ていますが権威ある経営学の専門誌で、大学の恩師が「民間企業に入ったらこの本を読みなさい」と勧めてくれたことを覚えています。The Economistが一目置く活字メディアの一つ、と言って間違いはないでしょう。世界の経営者たちが読み漁る記事に、ある意味完全な虚構である小説家による事例研究が載る、というのも前代未聞なら、その事例が高い評価を受けたというのも興味深いところです。日本では幸田真音や高杉陽などの企業小説が売れていますが、実社会そのもの、くらいまで真に迫ったその内容も、経営課題として捉えられるほど微妙なものではなく、たとえば勧善懲悪だったり、たとえば100年に一度もない重大危機への対応だったりと、ある意味で日常性に欠けるところが目立ちます。経営学の事例研究において、日常性は不可欠であり(だからこそ経営者に真剣に取り組んでもらえる)さらに迫真の内容だったりすると、これはもう読み手をうならせる水準の文章になるのだろうな、というのはおおよそ想像がつきます。

「夏枯れ」の記事の中で、それでも「へえ」と思ったので。