新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

EUの憂鬱

8月29日号のCharlemagneですが、夏休みが終わってブリュッセルに戻るEUの官僚たちを待ち受ける憂鬱についての論評です。いわく、EU発足以来世界経済危機までの間、休むことなく進めてきた国境自由化と通貨統一に象徴される経済広域化・自由化に対して、各国が求めつつある経済安定化のための保護や規制は今までの政策を否定することになりかねず、この点がブリュッセルのEU官僚たちにとって大きなジレンマとなっている、というお話。

日本でも、小泉政権から麻生政権に変わってゆく中でいみじくも暴露された政策の方針転換ですが、The Economistは「危機は機会でもある」という格言を引用してブリュッセルの官僚たちに応援メッセージを送っています。で、実際に仕事を動かす官僚たちのマインドは、いったいどのようなものかと思ってしまいます。

状況は少し違いますが、ある意味で政権の連続性が失われた日本の官僚たちも潮目の変化に敏感になっているところがあるようです。昼間、仕事をしていて今週あるタイミングで風の変化を感じたのですが、それは補正予算の執行に関する担当部局の態度ががらりと変わったことによります。複数の官庁が関係する複数の異なった補正案件について、時期を前後してよく訳のわからない理由でブレーキがかかったのです。で、よくよく聞いてみるとどうも補正予算は民主党の影響で差し止めになるリスクがある、ということのようでした。方や中小企業育成、こなた国際協力と、役所も実施団体も違う話だったのですが、なるほどこれが変化というものか、と妙に納得させられたところはありますね。

ヨーロッパについていえば、連合加盟国の団結を守るためには保護的政策の採用は不可避だろうと思います。その間、米中二大勢力に置いてゆかれるリスクは覚悟しなくてはならないでしょう。そして一度離されてしまうと、失地回復は何倍も難しいものだと言うことも。貧しい国にちょっと我慢してもらえればまだやれる、そんな歯軋りが聞こえてきそうですが、ここが我慢のしどころですね。


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