新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

明けまして

2010年の出始めは一寸更新をサボってまして、気がついたら7日になっていました。ようやく今日、1月2日号の印刷版が届きました。今年も「The Economistを読むブログ」をよろしくお願いします。

さて、年の初めはAsiaに載っていた中国の「罪と罰」に関する記事から。昨年12月に中国でイギリス国籍の男性がヘロイン4kgを所有していた罪で死刑になった、というニュースは日本でも報道されましたが、この件をイギリスのブラウン首相が声高に批判したことや、中国で西洋人が死刑になるのは半世紀以上ぶりであること、アヘン戦争の記憶との絡みなどについては特段報道されなかったように思います。

同じ時期に中国人の社会活動家が、政府批判の言動をしたことに対して懲役11年の有罪判決を受けたことについても取り上げられていましたが、そのどちらも先進国の基準から言えば大変厳しい罰であるように思われます。死刑は毎日(毎月ではありません)5人以上のペースで実施されているそうですし、反政府的な言動も見逃されることがあるかと思えば予想しないときに捕まえられたりすることがあるそうで、そうなると事なかれ主義の日本人でなくても安全サイドで物を考えるようになるのではないでしょうか。

読者のコメントも右から左までさまざまですが、一つ言えると思うのは犠牲者が英国人であったにもかかわらずブラウン首相が強気の抗議を行っただけで、言ってみれば殺されっぱなしになってもそれに反対する声が「多数派になることがない」、というあたりにイギリス人の国境を越えたフェアディール(公正な交渉)の雛形を見るような気がします。

アメリカも、もっと言えば日本も、まだ死刑制度を温存、どころか上手く活用しようとしている段階なので、欧州などの諸外国と比べるとむしろ逆行しているような錯覚に陥ります。個人的には死刑制度を温存・運用することにより社会正義への有用な「重し」として活用できるはず、と考えています。

年始一番の記事がやや重たくなりまして済みませんが、この記事を読んでご感想をお持ちになられた方はnishidaju@yahoo.co.jp にコメントをお寄せ下さい。次回以降の「オーガニックで創める野菜」執筆時の参考とさせていただきます。それでは今年もどうぞよろしくお願いいたします。