新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

パーム油の持つ今ひとつの側面

6月26日号、後半のBriefingは、熱帯雨林をおびやかすパーム油「産業」の現状について報じています。事例はインドネシアなのですが、実際にはパーム油(ヤシ油)の生産は熱帯に位置する数多くの途上国で拡大していますので、もしかすると記事が報じている以上に深刻な状態なのかもしれません。植物油ということで消費者の受けが良いパーム油は、価格は低位安定している反面生産高は右肩上がりで拡大(ということは需要の拡大を満たす生産拡大が続いているということ)、お菓子や化粧品、嗜好品、洗剤、医薬品等幅広い用途があるため、需要サイドから生産統制を働きかけるのは難しいこと、しかも熱帯雨林を伐採して広げられた椰子農園は油を搾り取るとそのまま再生されず二酸化炭素吸収源をどんどん侵食していることなどが問題だとされています。

「産業」としてはたしかに魅力的で、途上国が増産へと向かう理由は良く判るのですが、こなた地球温暖化対策や生物多様性保全を考えるとき、「お肌に優しい植物由来の」パーム油は一変して悪役となるわけですね。

しかしながら決定打を欠くなか、確実に生産量は増え、確実に熱帯雨林は減り、確実に途上国は潤い、確実にパーム油を使った商品は増えている、と言うことなのだろうと思います。いつもより暑かった今年の6月、地球温暖化への取り組みがいつもより真剣味を持って感じられたような気もしてるのですが。