新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

まさかのときのおカネ

4月7日号、Banyanはチェンマイイニシャチブに基づくASEAN+3の通貨危機対策と国際通貨基金IMF)との関係について、1997年のいわゆる「アジア危機」から現在に至るまでの間に生じた右往左往の歴史と併せて簡潔にまとめてくれています。各国が独自に担保する危機対策の資金は、97年当時の水準からみれば高いものの、現在の国際経済が予想する危機の水準からすると、とても満足とは言えないものらしく、このあたりの変化は東日本大震災の前と後で津波対策の水準が大きく変わったことを彷彿とさせます。

アジア危機当時、「アジア通貨基金構想」が国際社会なかんずくIMFとの調整でうまく実現しなかったことを想起するに、想定される危機の水準が高くなり、IMFとチェンマイイニシャチブの補完性が評価されるようになったことは、良く言えば国際経済の環境整備が進んだということではありますが、悪く言えばグローバル化の進展に伴い、想定されるリスクが一層高まった、というふうにも読めると思います。

とりあえず、みんな個別に貯金しておこうね、でも困ったらその時は相談して融通しようね、といった程度のスキームが、日々進化するグローバル経済への下備え化と思うと、なんだかちょっと頼りない気もしますけど。