新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

パンフレーション:新しい経済用語?

4月7日号のLeadersは、中国の海軍力増強に関する論評がコメント数で全記事のトップになったり、ミャンマーの補欠選挙とスー・チー女史の勝利に関する記事があったりと、ここ最近の流れそのままにアジア中心の構成ですが、ちょっと興味を引いたのは「パンフレーション」という、The Economistならではと思われるコトバがタイトルになっている記事でした。おそらくは同紙の造語だと思うのですが、経済のみならず、世の中すべてインフレが進行しているというような内容で、たとえば同じサイズの実寸が、昔に比べて明らかに大きくなっていること(日本で言う9号サイズのウェストが実際は太くなっている、というような)、ファイブスターホテルの多くはちょっと前までの4つ星レベルだったりすること、などがその象徴だそうです。

そう言われてみれば、50年前は5人に一人くらいしか大学進学をしなかったはずなのに、少子化も手伝ってか最近は大学全入時代ですし、4LDKマンションのサイズは戸建ての3LDKとさほど変わらなかったり、その戸建てにしても庭の広さは昭和の家のほうがあきらかに大きかったりと、日本でも同様の現象はあちこちで見受けられます。近所のパン屋が売っているパンも、同じ商品名のものが数年前に比べるとあきらかにサイズが小さくなって、その隙間を埋めるように新しい商品名のパンが売られたりしています。「これって、昔のアレだよね。」そんなつぶやきが聞こえてきそうです。

そのような現象を「パンフレーション」と呼ぶそうですが、その多くがDevaluation (価値の切り下げ)と言ったほうが正確な現象ですね。期待するほどに世界経済は成長もしておらず、実際の実入りも多くないってことの裏打ちなのでしょうか。ちょっとため息の金曜日朝です。