新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

世界は日本を追う

6月16日号のButtonwoodは、年金制度の将来について、どこかで読んだような記事が出ています。すなわち、支払いが滞り年金会計が厳しくなっている、若者は思ったほどの便益を受けない、人々は長く働かなくてはいけなくなる、と言ったお話で、一寸前の日本の公的年金を巡る議論ととてもよく似ているのです。議論はOECDの報告に端を発しているのですが、だとすれば世界全体(最低限先進国全体)の問題になりつつあると認識すべきで、その意味では世界は日本を追いかけている(?)と言える分野です。
だとすると、追いかけられている日本は世界に対して有効な知見やツールを提案できるのでしょうか。

高齢化問題についても、また産業の成熟化についても言えることですが、21世紀後半を見据えた日本の取るべきアクションとして、先進的な経験値の共有は大きなテーマになってくるのではないかと思います。おそらくそれは、援助と言う発想から抜け出せなかったこれまでの途上国向け経済協力とは違い、自らの経験値から有用な要素を抽出する「抽象化・一般化」の努力と、なぜそれが有用と言えるのか「理論化・明示化」の努力が一層求められるのだろうと思われます。どちらかというと一対一で相手に合わせたテーラーメイドでやってきた経済協力とは違い、より広い舞台での発言が求められてゆくようになるのではないかと、そんなふうに見ています。