PISAについて、The Economistの見方
国際生徒評価プログラム、と言ってもピンときませんが、日本のニュースでもPISAという名前は報じられているので、ああそうかと思われる人は多いかもしれません。正式にはProgram for International Student Assessmentというそうですが、この結果で日本がそこそこの成績を上げたことは国内のニュースなどでも報じられていますね。
The Economistもこのニュースには反応していて、電子版ですが結構上位の記事として取り上げています。
日本の報道と異なるのは、日本ではほとんどが「日本のランキング」と結びつけた報道だったのに対し、The Economistはテスト全体の結果について国別に「費用対効果」や「ランキングの動き」に着目した分析を行っていることです(日本もこういう報道をすれば良いのに)。
記事が伝えるところでは、デンマークとポーランドでは前者の生徒一人あたり教育予算が5割も多いのに対して、PISAのスコアは同レベルなのだとか。
ランキングの動きについては、たとえば欧州ではエストニアが伸びていること、隣国フィンランドと併せて高い点を出していること(いずれもモンゴル系の血が入っていると言われている国で、金髪・青い目ですが蒙古斑がある人たちです)。またアルゼンチンやポルトガルの伸びも著しいこと。その背景にアルゼンチンは教育改革、ポルトガルは複合的なテスト対策を行ったことを挙げ、「生徒に習わせる努力」とその成果について示唆的な見方を伝えてくれています。たとえばアルゼンチンでは、先生のストライキを収束させるべく、先生向けのホットラインを作って不満を吸収し、他方で教育の質的向上を図ったのだとか。
記事を読んでいて感じたのは、テスト成果を議論する場合について教職員組合の存在が世界的にネックになっているらしいこと、ですかね。こういう視点を持てるのもThe Economistを読むメリットかな、と思っていますが。