新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

牢屋の経済学

2月23日のEconomic focusでは、企業社会に適応される刑事罰がもたらす負の経済効用について面白い比較をしています。イギリスで実施された経営者に対する調査で、経営者の責任が問われた際に多額の罰金を科せられることに比べ、個人的な隔離がより効果的である(カネで済ませられることにはへこまない)という結果が出たのだとか。それによると罰金刑が第四位、個人的ダメージが第五位、社会的汚名やビジネス上の失格(免許剥奪等でしょうか)がその上位にきて、最も恐れられている罰は牢屋行き、だそうです。

日本は罰金や懲役刑でも初犯だと執行猶予になったりしますが、それを実刑にするような恐怖があると、談合防止等にはかなり強力な武器になるような気はします。性悪説が受け入れられにくい土壌を持つ日本ではなかなか難しい話かもしれませんが。

Science and technologyでは、新型エイズなど類人猿の持つウィルスの恐怖について、「道徳は何に由来するのか」という疑問について、かつて哲学のなし得なかった回答を脳科学がなし得ようとしている話について、二酸化炭素の吸収により海水が酸化しつつあり、珊瑚等の生態系にとって潜在的な恐怖となっている話についてなど。Books and artsでは2003年にバグダッドの爆弾テロでなくなったブラジル人国連職員セルジオ・ヴィエイラ・デ・メロ氏の伝記が紹介されています。

読んでみたいなと思わされたのは社会企業家に関する2冊の本で、グラミン銀行ムハマド・ユヌス氏とポール・ポラック氏の書籍が紹介されていました。今のところ私の興味が向かっているフィールドの一つで、途上国協力に最も効果的な取り組み方の類型ではないかとすら考えています。
いずれ機会があったらこのあたり、自説も紹介したいと思っていますが、伝統的なODAには限界がある、との確信を具体的対策に落とし込む理論武装はまさに進行中なので、これらの本を参考にするなどして自分の考えをまとめてみたいと思っています。

Obituaryは冒険家、スティーブ・フォセット氏が航空機による行方不明の後、死亡宣告を受けたことを伝えています。