新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

特別扱いへの批判

8月25日号はleadersでプーチン政権下復活をとげたKGB人脈と同政権の秘密警察体質について(これはBriefingとして詳報されています)、核を巡るインドとアメリカの特別な関係について(批判)、FRBによる利下げとモラルハザードについて、タイの新憲法制定について、94歳で亡くなった元デイリーテレグラフの記者、ビル・ディーズ氏について、となっています。Lettersでは8月11日号の「アメリカは左翼に回帰するか?」への賛成・反対がいくつかあり、筋金入りの共和党支持者と言う人が、ジョージ・W・ブッシュ現大統領を「共和党のふりをした南部体制派」と決め付けているのは大変興味深いものでした。

その中で、一寸気になったのが「核問題で、なぜインドを特別扱いするのか」という議論です。その中にはアメリカ、オーストラリアに続いて最近安倍首相がインドを訪れた日本も含まれているのですが、国内では経済面でインドブームが続いていることもあり、「なぜ特別扱いするのか」という議論すら見られないような気がします。

でも確かに、核拡散防止条約を批准せず、核兵器保有を公言するインドへの対応はこれまで常に一定以下の慎み深いものに限られてきたと思うのですが、中国への対抗という極めて自分勝手な論理だけでこれまでの扱いをころりと変えて特別扱いすることがどれだけ日本の立場、もっと言うと「唯一の被爆国」というお決まりのフレーズを陳腐化させていることか。

特別扱いするならするで、国際社会が納得するだけの議論を堂々と行ったうえでやって欲しいものだと思いますが。いや、これは「南部者」扱いされたブッシュ大統領のアメリカや、オーストラリアにも当然当てはまる話なんですけどね。