新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

クルドの今

9月8日号がMiddle East and Africaのページで、それでも3ページ強にわたった大きなコラムで伝えるイラク北部のクルド人支配地域の現状は、日本語のメディアではなかなか目に出来ない、内容の濃いものになっています。実効支配地域と多数地域、そして支配権主張地域にはあきらかな格差があり、中心都市ではクルド人によるイラク国旗やアラビア語を使わない安定的な行政が存在する実態は、一読しただけでそこにイラクとは違う何かが確かに存在していることを強く印象付けます。もっとも、今後経済的に自立できるのか、民主主義が本当に根付いているのかといったお決まりの質問以上に、幻のような独立状態を達成したイラク国内のクルド人の、およそ6倍ものクルド人がイランやトルコに住んでいるという実態が、事情をより難しくする、という話は日本でも良く報道されていますが。

複雑に絡まる多国間関係の中、国際社会として手付かずになっている気配もあるクルド人問題ですが、国際社会で名誉ある地位を占めたいと思っているはずの日本はどのような対応をするのでしょうか。何かビジョンを示せるようなお手伝いをする用意や覚悟といった、国際社会へのコミットメントに先立つ要素が、何時にも増して希薄なように見えるのですが。

9.11から6年、大統領選も絡んでか、NYの同時多発テロに関する記事は思いのほか少ないです。このあたりに、古傷をなめことをよしとしないアングロサクソンの気概を感じたとしたらそれは誤解でしょうか。