新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

市民社会と拷問

9月22日号ですが。

非常時の自由の制限、というテーマに関する6週連続の短期集中連載が載ってます。タイトルは、テロと市民社会、拷問は正当化されるのか?というもので、9.11以来の「テロとの戦争」において、度々報道されている敵(アルカイダや、アフガニスタンタリバンを指すものと思われます)の捕虜について拷問は認められるのか、と言う議論です。これらの「敵」は、国家の正当な軍隊ではないため、戦時捕虜の規定を定めたウィーン条約の保護を受けない、すなわち犯罪者扱いしてもよい、という解釈があるようです。

だから、というわけではないのでしょうが、かなり最初から、半ば公然と、拷問は行われていたようで。

アブグレイブ刑務所やグアンタナモ捕虜収容所における拷問の様子を捉えた写真は世間を驚かせました。

興味深いのは、国によって拷問を是認する比率が大きく違うことで、英仏独は拷問に反対する人がとても多いのに比べて、イスラエル、イラク、中国、ロシアなどでは「場合によっては仕方ない」との意見が反対意見と拮抗しており、アメリカはなんとその中間に位置します。死刑制度がある国とそうでない国の違いでしょうか。だとしたら、たとえば日本人は拷問を是認するのか一寸興味がありますが、この記事は全く日本を素通りです。

で、記事の論調は「イラクにおける米英の行為は、ミャンマーやイランなどのような拷問廃止条約未加入の国と似たようなものだ」といわんばかりのトーンですが、特にCIAの関与については批判的な視点を投げかけています。

「軍事目的のため妥当かつ必要な」行為、として拷問が拡大解釈される余地のある捕虜の扱いについて、CIAの責任者が拷問への積極的関与を完全否定しているようですが、言葉どおりに取る人は少ないでしょうね。確かに。