新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

報道されない・・・

9月29日号のBusinessには一寸目を引く記事が満載です。まず、中国製のおもちゃに含まれた磁石や鉛入り塗料の問題で、「マテルが中国側に謝った」という記事ですが。あれっ、と思ってよく読むと、子供が飲み込む惧れのある磁石はマテル側の設計ミス、塗料はマテル側の要求品質に欠陥あり、という判断があったようで、それもさることながら、マテルの重役が「中国のユーザーに対して」謝っているところがメディアに取り上げられ、「中国に対して謝っている」というトーンで報じられた気配があるようです。

良く考えてみれば、世界の製造業がコスト追求のため中国の生産基地を頼る中、中国だって増産が続けばコストは上がるわけで、この記事はそのしわ寄せがどこに出るのか、という点についての警鐘とも取れます。ではどうすればよいか、と言う議論に決して触れないあたり、The Economistの製造業への「不得意感」が漂うのですが。

このほかにはボーイング787のサプライチェーンが世界に拡散している状況と、懸念される納期遅れについて。エアバスA380が2年という大変な納期遅れで世間を騒がせましたが、ボーイングは今のところ強気で、ANAに対する来年5月の納期は遅らせない、との立場を明らかにしているとのこと。なんでも「セブン・エイト・セブン」ではなく「セブン・レイト・セブン」になるのでは、との観測が株価にすら影響しているようですが。市場動向としては、エアバスの開発するA350中型機とともに、省エネ型カーボン製旅客機が主流になりそうな気配、とのこと。

納期問題で右往左往する、のは製造業にとって宿命とも言える話ですが、部品を世界で作って、それをシアトルに集めてアッセンブルする、というビジネスモデルが果たしてどこまで納期やコストに資するものなのか。この記事だけでは判断できませんが、一寸考えただけだといささか規模が大きすぎるような気がします。

Face valueはパソナの南部社長が載ってました。曰く「日本株式会社の人材採用・配置システム」を変革させた、との自認でいらっしゃるようですが、ハケンでも家計をきちんと養える時代になってはじめてそう言えるのでは?という気がします。一寸保守的な発言かな。折も折、今朝の日経新聞一面は、トヨタが非正社員の組合員化を進める、というものでした。労働分配率の抑制に効果があったといわれるハケンが所得の二極分化を進め、社会の階層化を進めるものだとしたらそれはマクロ的には大問題なのですが、私はハケンが正当な報酬や立場を得られるようになるのであれば、雇用の流動性が経済にもたらす正の影響が前面に出てくるため、単なる問題としてではなく、対応すべき課題、として認識されるべきもの、と考えています。ぜひ世の中をこうしよう、という視点で捉えられる未来形として。