新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

EUの目指すもの

10月27日号のCharlemagneでは、先週ポルトガルのリスボンで開かれたサミットで設置が決まった三つの機能、すなわち既存のポストを統合する形で作られる欧州外務大臣と、欧州委員会(European Council)委員長、欧州評議会(European Commission)委員長の三役が、所謂「ミスターヨーロッパ」として、エネルギー、気候変動、移民問題など欧州が共通に抱える問題をリードすることになるだろう、リスボンがもたらしたこの三つ子は、遅れに遅れた欧州条約をさらに塗りつぶしてしまいかねないものだ、とのやや悲観的な結論を述べています。

確かに、理念とは大きくかけ離れた欧州統合の現実を考えるとき、一見重複するようにみえる3つの役職でさえ、喫緊の課題に忙殺されるであろうことは明らかで、このあたりが民主主義の難しさ、であるのかもしれません。

クルド人対策とイラク問題に手を焼くトルコを、欧州はどう遇するのか?旧ユーゴ諸国との付き合いは?コソボ問題はどうするのか?ウクライナとロシアの関係が欧州に与える影響とは?なんだか、4人ではなく10人くらいで囲むマージャンのように、複雑多岐に入り組んだ欧州の様子が垣間見えます。