新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

胎動の読み方

11月3日号です。まずはLeadersで宗教対立がもたらす戦争の火種、というような内容で一ページ。でも一寸待ってください、現在起きている世界各地での紛争に宗教が絡んでいることは間違いないとして、その真因は本当に宗教対立なの?と思ってしまいます。パレスチナ・イスラエル対立の真因のひとつはヨルダン川の水利権だったり、アフガン問題のそれは社会・教育問題であるとか、バルカンにおいてもボスニア人をわざわざ「イスラム教徒」と呼びつづけるメディアがあって、それっぽい響きがありますが、純粋に宗教対立が戦争の火種になるという見方は一寸危険な気がします。相手を慮ればこそ、問題視することは不可避としても、慎重な議論が望まれる問題ではないかと思います。逆に、宗教対立に正義を求めるのが自らを最も正当化しやすいロジックだから、ということはありませんか?と質問したくもなります。神の名において植民地を侵略し、神の名において第3世界の西欧化を進めたのは、成功した側から見れば囚われやすい成功体験という名の頚木だったのでは?と。

その他、スコットランドで議論されている国税負担の増加と大英帝国からの独立(支持は少数とのことですが)の問題、アルゼンチンで誕生した女性大統領、プライマリーバランスの差し引きをゼロにするという米民主党の税制改革案(黒字が出たらどこかで必ず減税する)、平気として使われるロボットについてなど。

ロボットは、やっぱ兵器なんですかね。今月下旬に東京で行われる産業展示会では、工業用ロボットが半分以上、その他サービスロボットと言われる自動掃除機や介護補助機械などが残りを占めます。むしろ、というかぜひ、平和利用の観点からロボット産業の隆盛を見たいものです。日本はその先導役に、なれるのではないかとひそかに期待しているのですが。