新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

宗教対立・・・ちょっと論理が辛いかも

11月3日号の特集記事、「神の名において」を読み進めています。それによると、?親と違う宗教に入信する人が増えている、?キリスト教のペンテコスタル派など新興勢力が力を伸ばしている、?新興勢力では宗教の影響力が強い、?従って宗教は政治的にも無視できないものとなりつつある、という議論がまず第一に紹介されていまして、後段はその延長線上の議論となっているようです。確かに、既存宗教に飽き足らない人が新興宗教に入信する例は古今東西あるでしょうし、日本の某政党を支える宗教団体のように、自らの意思であろうと折伏であろうと、親の代と違う宗教に入信する人というのはそれなりに宗教的な人だと言う点もうなずけなくはありません。問題はそこからなのですが、では韓国の巨大な教会に属するキリスト教信者たちはペンテコスタル派と同類なのか?という疑問が湧きます。

このほかにも、宗教が戦争の引き金になっている、とする議論において、どの宗教家も自分の宗教は平和を愛すると言う、との半ば牽強付会的な議論で国家権力と巧妙に離れたボトムアップ型テロの存在を指摘しています。ただスリランカの民族対立は宗教起因とはなかなか言いがたいところがありますし、同様にイスラム勢力の伸張が目に付くトルコにしたところで、宗教対立(だとしたら相手はヨーロッパ?)を激化させるような要素は見当たらないといったほうが当たっています。

どうにも今回の特集記事は宗教対立が戦争の原因であることを普遍化した議論に仕上げたいらしく、キリスト教徒のパレスチナ人についてのコラムなど、一部鋭さを感じる部分も見え隠れするのですが、全体として読んでいて常に「?」が頭を離れない感じがします。もう一寸深読みしてみると、本当に言いたいことが見えてくるのかもしれません。続きは明日。