新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ムシャラフ氏の憂鬱

国11月10日号のThe Economistは巻頭にムシャラフ批判の記事を載せていますが、個人的には大統領がさぞかし不本意かつ無念な思いに捉われているのではないかと思ってしまいます。民主制とは名ばかりの門閥政治と腐敗した国家の再生を目指して自ら政権を握ったところ、アフガニスタン問題への対応を米英に強く求められ、同胞たるパシュトゥーン人たちを裏切る形で米英への協力を推し進めたのに、オサマ・ビン・ラディンを捕まえるには至らず、結果的に国内の支持基盤も縮小し、ついには国外に逃れていた旧政権の一端と手を握ることを選択せざるを得なかった、という経緯を、国民も国際世論も認めなかったとしたら、まさに「結果が全て」の厳しい世界だなあと思ってしまいます。

もしも「民主主義を守れなかった」というお題目で同大統領を葬り去るのだとしたら、更なる混乱がパキスタンを襲うことへの懸念はいったいどうなるのでしょうか。建前の民主主義とホンネのビンラディン対策の微妙な隙間に疑問を持たないほどThe Economistの読者が能天気だとも思えませんし。Leadersだけではなく本論のパキスタンそして西アジアに関する論評に注目したいと思います。