新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

カネは天下のまわり物

1月19日号はLeadersで、世界の資金需要を引き受けるアラブとアジアのsovereign-wealth fundについて、パキスタンをはじめとする各途上国で存亡のせめぎあいが続く民主化の進展について、特集記事で取り上げられている企業の社会的責任について、宇宙の軍事利用に関するアメリカと中国の潜在的競争について、地球温暖化対策としてヨーロッパが先駆的に取り組んでいる排出権取引や各国で導入が検討されている環境税などの政策について、となっています。Lettersで目立ったのはパキスタンについて、「世界で最も危険な場所」とは大げさだろう、個人的にパキスタンを訪れても何ら問題はなかったし、かつてインディラ・ガンジーやラジブ・ガンジーが暗殺されたとき、インドをそんなふうに言いましたか?というインド人の方の意見が目を引きました。

sovereign-wealth fundについては、日本のメディアも取り上げたり、一部には和製ファンドの登場を期待する向きもあるようですが、透明性や健全性が必ずしも十分でないと判断される資金として西欧社会のアレルギー反応があることに関して、潤沢な資金は成長の源とする古典派経済学の考え方に則ってか、The Economist誌は基本的に肯定的な評価を与えようとしているようです。おそらくはバランスを取るためでしょうか、批判的なスタンスを取る向きの意見も紹介しつつ、ではありますが。

またThe Economist誌は地球温暖化問題等の記事で最近よく「この惑星(Planet)は」という主語を使うようになりました。直截的かつ妥当な表現だと思うのですが、反面また一歩、観念の熟成度合いの面で置いて行かれてしまったような気がしています。

企業の社会的責任(CSR)は仕事の上でも無視できない要素となってきているため、今週の特集記事で何が書かれているか、とても興味があります。