新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

条件付生活保護について

2月9日号前半を眺めてみると。Leadersでは前半戦を終えたアメリカ大統領選挙候補選びに関する総括と、50年ぶりの豪雪が中央政府による謝罪表明にまでつながった春節の中国、技術革新の基盤は旧式技術の普及にある、という分析、マイクロソフトによるヤフー買収、不安定さが収まらないケニアの現状、となっています。LettersではCSRに関する賛否が6通。UNグローバルコンパクト事務局からも、頼りなさを批判されたことに対する反論が出ています。グローバルコンパクトについてはこちらをご覧下さい。

http://www.unic.or.jp/globalcomp/

Briefingでは米大統領選挙の後半を占う観測がでていますが、やはりクリントン候補の苦戦を予想させる内容です。Asiaではアフガニスタン駐留のNATO軍を巡り追加負担が難しくなっている米欧の現状、中国の雪害、戦火を逃れて中国にやってきたイラク人、西側社会との関係が冷える中、中国が存在感を増すミャンマー、総選挙への道程が険しいバングラデシュ、インドのキリスト教徒、地下資源を巡るパプアニューギニアとブーゲンビルの対立など。United Statesでは、選挙や政治の話とは別に、イエローストーン国立公園におけるスノーモビル禁止の動きが興味を引きました。国立公園は自然保護のため?それとも人間の楽しみのため?

ブラジルでは貧困層向けに、たとえば子供を義務教育に行かせることを条件として支給されるボルサ・ファミリアという生活保護があるそうです。クレジットに条件をつける(Covenants?)のは援助の世界ではコンディショナリティなどと言われるマクロ経済の指標達成を条件とするものがあり、珍しいものではないのですが、某国の政府系機関などに対して無条件に補助をする体質を見直す上で参考になる事例かな、と思いました(たとえば、天下りを削減したり、公開入札による調達が進んだところにより大きな補助を出すなど?)Middle East and Africaでは打ち続くケニアの混乱、アフリカの独裁体制を正当化するような論説を中国の人民日報が書いたことに対する皮肉など。日本のメディアにも、最低限これらの論説に疑義を示すくらいの気骨ある態度が望まれると思うのは私だけでしょうか。Charlemagneではチャドの混乱を収拾するためにEUが働きかけを行おうとしているのですが、政府軍に対するフランスの強い影響力と一線を画することが実務的にはたいへん難しいようで、なかなか仕事が進まないと言う話が出ています。

最近、ちらほらとトラックバックもいただいているのですが、生憎とんでもない忙しさでなかなかこまめなアップデートが出来ていません。この状況は3月上旬まで続きそうな気配です。それまでの間、飛び石のアップになることをお許し下さい。2月2日号も最後のところが書けなかったのですが、たとえばObituaryでインドネシアのスハルト元大統領が取り上げられており、失脚後も保持した私財をあの世まで持って行くことはできなかった、と結ばれていたのが印象的でした。