新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

依然として

1月7日号のBanyanは、福島原発の事故処理に関する進捗と、そこから得られる知見の活用に関する漠たる不安についての記事となっています。

前半の技術的解説は、年末にNHKが放送した内容とさほど変わらないのですが、政府が事故終息を宣言したことと、現状において福島第一原発の冷却設備が耐震構造になっていると言えるのか?という疑問との距離感についてのご指摘は、さすがにThe Economistのロジックだと思いました。

読者コメントに、福島在住の日本人からという長文の、説得力ある投稿が載っていまして、曰く必死に頑張っているのに福島からだというだけで食品は風評被害を受け、避難先で子供たちは差別を受けることの不条理を訴えつつ、政府による進んだ情報公開と早急な対策実施を望む、というものでした。多くの賛意が寄せられています。それに呼応して、おそらくは日本滞在経験のある外国人の方から、外国人差別に例を求めつつ日本が内包する負の側面を指摘するコメントもありました。

事故から10ヶ月も経とうというのに、失敗の本質を追究する、もしくは本質の変革に挑もうする取り組みが緩慢かつ脆弱であることに、いつもそうなのですが内心いらつきを感じます。なぜ福島の事故は起こったのか?それを防ぐには何をどうすればよいのか?地震では壊れなかったという原発本体は、本当にどんな地震でも壊れないのか?安全に他の原発を使い続けるにはどうすればよいのか?

国民が求めているのは、これらの課題に関しても期限付きで回答を約束するような、そんな政治じゃないですかね。