新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

中国高速鉄道のその後と読者の感想

1月7日号のBusinessには、中国の高速鉄道事業についての記事が、さきごろ中国で発表されたという新しい高速鉄道車両の写真とともに掲載されています。記事によると、最近ネットで列車の指定券を予約するシステムに不具合が起きたとかいうことで、昨年の事故も引き合いに出しつつ中国の高速鉄道について安全の問題、システムの問題、そして価格設定の問題がスピードに優先するのでは、という問いかけがなされています。

それについての読者コメントが、読んでいて大変興味深かったのですが、たとえばイギリスの場合、高速鉄道が導入されるまでにまだしばらくかかりそうなこと、またヨーロッパの鉄道システムでは価格体系が非常に複雑で、どのような組み合わせの券を買えば最も合理的かについて、鉄道会社の社員でも良く分からないくらいだということ、更に昨年の事故を勘定に入れても走行距離当たりの安全性から言えば高速鉄道がトップだということなど、The Economistもたじたじとなりそうな意見がいくつも出ていました。なるほど確かにThe Economistはイギリスの週刊誌なので、こと高速鉄道についてはあまり偉そうなことは言えないんじゃないの?というのが私の感想です。

いつまでたっても昨年の事故のことが蒸し返されることへのいら立ちを示した、おそらくは中国人読者からと思われる意見もありました。私も、長いこと運営していれば事故は必ず起きるものだと思います。が、問題はその後の対応ではなかったかと。The Economistは安全の問題と言っていますが、ことの本質は転落した列車を重機を使って土に埋めるという、信じられない対応策を是としたその考え方にあるような気がします。この部分が改善されない限り、最後の一線で中国製鉄道システムが信頼を勝ち得ることはなかなか難しいのではないかと思うのですが。