新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

内向きなインド

ネットでは2月18日号が流れています。さっそくLeadersを見てみると、気が付けば規制の山を築いていた自由の国アメリカとその解決策について、ギリシャ問題が一山越えしたヨーロッパの問題解決ははるか先にあると言う分析について、隣国に対して傍若無人であったインドの方向転換について、中東で橋頭保を固めつつある「ムスリム同胞団」について、ヨーロッパの大衆車メーカーの海外戦略と政治家の横やりについて、というような内容になっています。

本来は自由の国として人工的に作られたアメリカが、特に昨今問われた企業統治に関する規制や国民皆保険への制度づくりなどで、気が付けば規制だらけの国になっていた、という分析は興味深いですね。で、その解決策として言われているのが「政治家には方向性のみを決めさせて、あとは官僚にまかせるべき、ただしその際に説明責任だけはきちんと問うように。」というものなのですが、最後の説明責任を別にすれば、それは日本やヨーロッパが長年実践してきた方法ではないかと思います(日本も昨今説明責任についての要求度が上がってきた部分もありますが)。それぞれ歴史や文化、辿ってきた道は違っても結局、最後にたどり着く解決策はいずこも似たようなもの、ということかもしれません。

同じような話で言えば、近隣諸国との関係づくりが下手という点でインドは日本の上を行くような気がします。確かにSARCとかいう地域共同体はあるのですが、二国間関係で言えばパキスタン、ネパール、バングラデシュ、スリランカなどの周辺国とインドは必ずしも良好な関係を保って来れたわけではなかった、と言う分析はナルホド感があります。人口比で見た外交官の数も少なく、対外政策の充実度でははるかに中国の後塵を拝している状況かと思います。それが外交官の増強など少しずつ変化の兆しを見せている、というニュースは国際社会にとって悪くない話だろうと思うのですが、インドが実は内向きだったという話には、やはりいずこも似たようなものなのかなという感想を抱きました。