新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

ミャンマー一寸待った?

4月12日号のAsiaには、改革が進むミャンマーの現状と、国軍の果している役割について興味深い記事が出ています。4月1日に行われた国会の補欠選挙でスー・チー女史率いる野党NLDが圧倒的な勝利を収めたのは記憶に新しいところですが、記事によると中国国境に近い北部の僻地では、依然として国軍が関与した対中密輸とチーク材の違法伐採、そしてさらに麻薬の原料となるケシの栽培もしっかり行われているのではないかとのこと。改革は表面的なものだけで、実は根深いところではほとんど変化など起こっていないのではないか、という指摘です。

なんだか「目立つ所だけとりあえず掃除しました、みたいな話ですね」、と言うことかと思うのですが、国際社会はそれでも柔軟な解釈と寛大な対応措置を取ろうとしています。すでに日本は3000億円もの借金棒引きと新たな円借款の供与を決めたそうですし、ミャンマーを含むメコン経済圏への大規模なODAも決まったと言うことで、おカネがないはずの日本なのに、そこだけすごく気前の良いニュースが続くような気がしています。

「改革は、後戻りしないのか」米欧のメディアがミャンマーについて何より先に投げかけた疑問です。テイン・セイン大統領はじめ、ミャンマー側は声をそろえて「それはない」と言う説明をしているようで、日本もおおむね納得しているようなのですが、この記事を読むとちょっと「ホントかな」と言う気にさせられます。日本の経済人にはファンが多いと言われるミャンマーは、人口も大きく市場としても魅力的で、であればこその柔軟かつ寛大な対応ということなのでしょうが、ぜひとも目配りは怠りなく。