新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

上っ面だけでなく

4月21日号の特集記事は、製造業の今後についてということで、興味深く読ませてもらっています。Leadersでは、3D印刷の技術がもたらすテーラーメイドの生産についての記述がありまして、目の付けどころがいかにもThe Economistだなあと思っていたのですが(現場を見ない:同紙の製造業に関する弱点)、特集記事では多面的に現在の製造業が抱える諸問題に切りこんでいます。特になるほどと思わされたのは、先進的な電子機器製造(たとえばiPad)の総コストに対する労務費の占める割合はどんどん低下する傾向にあり、他方で中国の人件費はどんどん上がっているのだそうです。だとしたら、iPadの製造工程は中国から例えばアメリカへ移すことができるのか?という疑問については、電子機器製造について中国がこれまでに作り上げてきた部品のサプライチェーンネットワークの力を評価し、それこそが中国の力であると素直に認めています。

では、その強みとするサプライチェーンネットワークの実態は何なのか、本当はその辺にもう少し突っ込んでほしいところではありますが、目の付けどころや論証のプロセス自体は悪くないと思うので、次は上っ面の観察に止まらない、踏み込んだ分析を期待したいと思います。