新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

バノン主席戦略官の辞任

週末の朝、日本のニュースでも報じられたアメリカ・トランプ政権の人事問題について、The Economist電子版は早速その読み解きとともにトップで報じています。

www.economist.com

日本のメディアは、ただ辞任の事実と「これでトランプ政権は新たな痛手を受けることになった」的な解説を報じて終わり、でしたが流石にThe Economistはその原因や背景についての洞察を加えています。

曰く、周囲とトラブルばかり起こして一向に政策実現に向かわないバノン氏に愛想を尽かした、あるいはシャーロットビルでの白人至上主義者と反対者の騒動について、自らのツイッターやコメントで収集がつかなくなった大統領が、政権内の人種差別主義者とも言われたバノン氏に詰め腹を切らせた、もしくはその両方ではないか、との観測なのですが、バノン氏側は特に後者の解釈を嫌ってか、「辞任は10日以上前に決まっていた、シャーロットビルの事件で発表が遅れた」と説明しているようです。

政権内の過激な意見はこれで少しは緩和され、現実的な方向へと舵が切りなおされてゆくのかもしれませんが、元々保守系メディアで活躍していたバノン氏が表舞台から消え去るわけではないので、アメリカ国内には依然として影響力を及ぼし続けるだろう、というのがThe Economistの見立てです。

バノン氏は政権内にあって中国との対立を恐れない最大の強硬派だったということを合わせて考えると、もしかすると今後の対中国・北朝鮮政策がある程度影響を受けるのかもしれません。くしくも今週はアメリカで日米2+2が行われ、同じ時期にダンフォード統合参謀本部議長が日本を訪れている、という事実と併せて考えると、そのあたりに見えてくるものがあるような気がしますが。