新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

選挙によって安倍政権が背負ったもの

10月28日号のThe Economistは、Leaders そしてAsiaでそれぞれ日本の総選挙がもたらした結果について論評する記事を載せています。Leadersのほうは、今回の選挙結果について事実関係を伝えつつ、改憲への布石はまだ道半ばであることを指摘しています。

www.economist.com

The Economist的に言うと、少子高齢化が進む成熟した民主主義国家である日本は外交的脅威にはならないということのようで、それを踏まえてむしろ改憲とそれによる日本の安全保障分野での貢献可能性を歓迎する論調になっています。

Asiaのほうではしかしながら、選挙結果やその後の国内メディアの論調などを参照しつつ、経済そして少子高齢化への取り組みなど、短期的に優先される課題について出口が見えないこともあってか「選挙によって政権の正当性は確認されたかもしれないが、その負託(Mandate)は弱い」との結論です。

www.economist.com

いずれも妥当性の高い論評であるように見えますが、第一者たる日本国民としては、支持率の必ずしも高くなかった内閣に絶対多数を付与したのだから、それなりの強い負託を与えるべきところ、野党の自壊もあってこのような結果となったことについては憂慮すべき状況ではないかと懸念します。すなわち、十分な負託のない絶対多数は、与党の政治家に「たいした仕事がないのに絶対多数≒サボっていても良い」状況をプレゼントしたことに他ならないからです。

せめてもの成果として、短期そして中期的に大きなリスクを抱える東アジア地域にあって、外交的にブレない政権を保全したことは評価できると思います。がしかし、そのぶん内政面で低レベルの緩みや油断が出てこないか、そしてそれが政権の足を引っ張ることにならないか、というあたりが慢性的な懸念材料、と言えるのではないかと思いますが、果たして?