新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

アベノミクスへの評価

11月18日号のFinance and economicsには、アベノミクスの5年を総括する記事が出ています。基本的に日本で報道されているものとあまり変わらないのですが、よく読むとThe Economistならではと言える洞察が含まれています。

www.economist.com

曰く、株価の上昇や戦後最長となる成長の継続があること、期待されていたよりは遅いかもしれないが賃金が上がったこと、物価の上昇も少しずつ見えていること、雇用が増えたことに対して、インフレ目標2%には全然到達していないことなど。項目的には日本で報道されているものと大差ないのですが、例えば雇用について、女性や高齢者が労働市場に再参入することで人手不足が緩和されたこと、外国人労働者が100万人を超えたことなど。特に「焼き鳥屋の従業員にはベトナム人移民が雇用されている」との記述は日本のメディアでは出てきにくいそれではないかと思います。

普通に日本のメディアだけ見ていると、それは技能実習生だったり、留学生のバイトだったりするようなイメージがあり、本格的な移民について報道されることは少ない(というか、法律的にありえないことになっている?)と思うのですが、肌感的には「それは本当か?」と時々感じるほど、街に住む外国人は増えていると思うのです。むしろ、The Economistがサラリと書いたように、日本にはベトナム人の移民が居て、その人たちが人手不足の中で飲食小売業を支えている、と考えた方がしっくりくるくらいに。

何といっても水は低きに流れるわけで、そういう意味では仕方ない現象なのかもしれませんが、アベノミクスを評価するなら、経済的な指標だけでなく、そういった質的な変化も併せて考えるべきではないかと、ちょっと思わされた記事でした。