新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

おカネはどう回るかと言うと

1月21日号のLeadersです。
まずは中国など新興国でよく見られる、政府と企業が一体となった「ステート・キャピタリズム」と呼ばれる企業体の躍進ぶりについて。日本も一時期やれ護送船団だの、日本株式会社だのと言われましたが、国営企業と政府が一体となって国際商談を牛耳る今の中国ほどだったかどうか。
次はユーロ危機とイタリア、そして他に助けられる国がいない中で一層の働きを求められるドイツの話。さらにアメリカで高額所得者に対する増税と言う議論があるなか、高額所得者の優遇措置を見直せば税率まで上げなくても良いんじゃないの、という論評が続き、イランの核開発疑惑に対する制裁措置として原油取引が制限されたことと今後の対イラン政策の話をはさんで、いわゆるLLC(日本では合同会社と言う制度になっています)に対する有限責任の投資を無記名で行うことへの危惧(マネーロンダリングなどの懸念)、という流れになっておりまして、5本ある記事のうち4本がおカネの流れに関係する話になっていますね。

早い話、借金で苦しんでいるヨーロッパではそれをどう解決するかに焦点が集まる反面で、稼ぎまくる中国など新興国がいて、またすでに金持ちである人たちはどうふるまうべきか(アメリカの税負担とLLCへの投資)、という話が前面に出ているということですね。おカネは、あるとき、ないとき、入るとき、出るとき、それぞれ何をどうするか、についての議論の根底にあるのは公平・透明であることの重要さ、と言うことだと思いますが、なんの偶然か今週は出るときについての話がありませんでしたね。出るとき、上手におカネを使えるかというのも重要なファクターだと思いますし、社会の高齢化により長期的に見れば(震災復興で短期的にも)日本はおカネを使うフェーズにあるのだろうと思います。出るときも、もちろん公平さ・透明さは求められるわけですが、その意味で考えると果たして日本の現状は?と思わず考えてしまいます。

税と社会保障の一体改革について、議論さえまともにかみ合わない状況はとても透明性を誇れる状況にあるとは思えませんが、実際はThe Economistに洟もひっかけられないところにあるのでは、と思わざるを得ない状況かと。議論の進展を期待したいところですが、さて。