新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

現職優位

5月5日号のLexingtonは、アメリカ大統領選挙の帰趨について、現職オバマ大統領の持つ圧倒的な優位性がどのようなものなのか、を報じています。まずは大統領専用機を含めた交通機関を、ほぼ無制限で使えること。実際は公務に限定されているとは言うものの、どこまでが大統領の公務でどこからが選挙運動なのか、について線引きは難しいという事実によるもの、だそうです。そして「大統領として」演説できること、などあらゆる場面に及んでいるとのこと。確かに先日極秘で訪問したアフガニスタンからの演説映像は、高いニュース性を持っていたと思いますし、なんと現地時間午前4時という早朝に行われたその中継は、アメリカのゴールデンタイムを意識したものと言われても仕方ないだろうと思います。

とはいえ、これらの優位性は言ってみれば「始めからわかっていたこと」の範囲でしかなく、その意味で決定的な不平不満の対象とすべきものではないように思います。逆に、当時のレーガン候補・クリントン候補がそうだったように、現職大統領の失政を批判し、大統領専用機に対して貸切バスでの全国ツアーなどを目立たせることで「より庶民的」というイメージを作って当選した例もあるわけですから、オバマ大統領の4年間を批判材料に使える分、本来であればライバルは有利であるとの側面も出て来うる選挙のはず、だと思うのです。

そうならなかった原因は、やはりライバル政党の人材不足でしょうかね。それを引き起こした原因は・・・と突き詰めて行くと、どうも「保守勢力の低レベル化」に行き着くような気がします。どこかの国でも同じような現象が起こらないと良いのですが。