新 The Economistを読むブログ

イギリスの週刊誌 The Economistを読んでひとこと

2013-01-01から1年間の記事一覧

そこまでしないと

7月13日号のBusinessには、バングラデシュの繊維工業が従業員の安全を守るように、客先となる米欧諸国がそれぞれ定めた基準に微妙な違いがあることが、抜け道を用意することになるのでは?というご丁寧な心配ごとについて書かれた記事があります。 いわく、…

待ってましたBig Mac Index

7月13日号のFinance and economicsには、The Economistの名物記事であるBig Mac Indexの最新版が出ています。日本のメディアでも良く取り上げられるのでご存知の方も多いと思いますが、これは世界の国々で売られているビッグマックの価格をアメリカのそれと…

台湾と世界の新しい関係

7月13日号のAsiaには、このほど台湾とニュージーランドの間で結ばれた自由貿易協定に関する興味深い記事が出ています。これまで台湾を巡る国際通商条約、特に自由貿易協定はほとんどの場合中国の反対にあって実現できなかったのに、ニュージーランドはと言え…

健全と言えば、まあどうにか。

ネットでは7月13日号が流れています。Asiaのトップは、今月28日に行われるカンボジアの総選挙について、の話題で、日本の参議院議員選挙は(当たり前かもしれませんが)に盤目の扱いです。 基本的には長期政権を敷くフン・セン首相率いる与党が勝つだろう、…

宗教的に虐げられるということ

7月6日号のAsiaには、新疆ウィグル自治区におけるイスラム系住民と地元政府との緊張に関する記事が載っています。すでに数十人を超す死者が出ており、政府は一層の規制強化を進めるのだとか。 政府側からすれば、テロ対策なわけですが、強化策にはそれまで…

政治にイノベーションは期待できるのか

7月6日号のAsiaに載っている日本の記事はと言うと、さきごろようやく日の目を見た選挙制度改革法、いわゆる「5増5減」についての、読んでいて書き手のため息が聞こえてきそうな話だけ、でした。ま、このほかに重要法案がたくさんあるとか(電気事業法改正…

手続きではなくて

ネットで流れている7月6日号のトップはエジプトのクーデターに関する寛容な記事です。民主主義の手続きを経て就任した大統領をクーデターで追い出したというのに、どうして? 基本的にThe Economistは民主主義を不寛容なまでに是とする主張が多く、今回の記…

何より早く

6月22日号のScience and technologyには、ちょっと懐かしいテレビ番組の話に絡めて、科学技術の進歩に関する示唆的な話が出てましたので、今日はそれについて。 かつて「サンダーバード」とか「キャプテン・スカーレット」なんていうSF人形劇がありまして…

領土と人権

6月22日号のLeadersそしてChinaには、さきごろ中国共産党付属のシンクタンク研究者が語ったと言う、チベット向けの融和的な政策についての論評や、現在中国がチベットで取っている抑圧的な政策の詳細について複数の記事が載っています。 まず、おそらくは党…

歴史を知ると言うこと

6月22日号のBooks and artsに、ちょっと気になる本が紹介されていました。 曰く、日中戦争が現在の中国における国の意識を形成する機会になった、という本だそうで、それまで連戦連敗だった中国軍が「台児荘の戦い」において初めて日本を破ったことなど、私…

期待外れだけど

6月15日号のLeaders、トップはアメリカのNSAによる盗聴や個人情報の収集が暴露された問題についての記事ですが、三番目にアベノミクスに関する失望をにおわせる記事が出ています。 日本でも各メディアが伝える通り、「三番目の矢は踏み込み不足」という批判…

ぜいたくショッピング

6月8日号のBusinessには、中国とアラブの富裕層に関するショッピングの特徴についての面白い記事が出ていました。中国は、堅調に見える経済の裏で富裕層の購買意欲にも少しずつ変化が見え始めているようで、簡単な商売はやや下り坂にあるものの、本物志向の…

とんでもない話

6月8日号のMiddle East and Africaには、日本もしくはアジアでは想像もつかないナイジェリアの自動車運転事情についての記事がありまして、なんというか、あいた口がふさがりません。 まず、死亡事故が多いこと。自動車10万台当たりの死亡者数が年間1000人を…

電気の問題

6月8日号のAsiaには、南アジアにおける宿阿の業とも言える盗電と、それを許容する電力会社の汚職という大きな問題を抱えたパキスタンの現状についての記事が出ています。 それによると、ラホールの貧民街ではあたりまえのように盗電による電力供給がなされて…

報道されない米中首脳会談の意味

6月8日号がネットで流れています。表紙の写真と、Leadersの2番目の記事が今日から行われる米中首脳会談についてのものなのですが、記事を読んでいて日本のメディアの報道とはずいぶん視点が違うことに驚かされました。 曰く、会談は取引きの機会でもあるだろ…

電車の技術革新

6月1日号のTechnology quarterly を開けると、見慣れた新幹線の写真が載ってます。何かと思って読むと、鉄道を巡る技術革新に関する話題でした。世界に広がる高速鉄道ブームがその背景にあるらしいのですが、競争の激しい自動車や飛行機に比べると、ユーザー…

釈然としない中で

6月1日号のBanyanは、先ごろ行われたマレーシア総選挙を巡る政治の虚々実々ぶりと、票数で上回りながら獲得議席数で負けた野党指導者、不人気と言われる与党そしてナジブ・ラザク首相の選挙後の発言などに基づいて、今後の展望を分析しています。 かつて副首…

そう見えるんですかね

6月1日号のAsiaには、日本を巡る記事が二つ載っています。すぐ後ろのChinaにも、抗日ドラマについての小さなコラムが写真入りで出ています。この3つの記事を通覧してみると、アングロサクソンが今の日本や日中関係をどう見ているか、おぼろげに浮かんできま…

安いだけじゃなく

6月1日号のUnited Statesには、一時期「原子力ルネッサンス」とまで言われたアメリカの新規原発建設計画が、軒並みスローダウンしている状況についての記事があります。計画が具体化した24か所の原発のうち、実際に稼働する見込みの発電機は3基のみという状…

脱貧困への羅針盤

6月1日号の表紙と、そしてLeaders2番目の記事は、いわゆるMDGsに関連して、順調に減少しつつある貧困層の人口と、今後の展望についての解説となっています。 ある意味で目標よりも順調に、世界の貧困層は減少して来ているそうで、その理由は何にも増して中国…

ビルマのたわごと

小説のタイトルは「~竪琴」でしたけど。 何かって言うと、5月25日号の特集記事がミャンマーについて、なんですが、折しも安倍首相の訪問があったりと、日本でも注目されている国なわけで。 その中で、ミャンマーの将軍が調査にばかり来て具体的な投資行動に…

Sony大丈夫?

5月18日号のBusinessには、アメリカの投資ファンドからソフト部門の切り離し要求を受けたSonyの現状について、ちょっと示唆的な記事が出ています。 いわく、事業価値の大きそうなソフト部門切り離しをSonyがどう検討するのか、という問題について考え方の推…

日本のマスタープラン

忙しくて、ちょっとご無沙汰してしまいました。 と思ったら、5月18日号の表紙は、赤いジャケットを着た安倍首相が、ウルトラマンよろしく戦闘機を引き連れて空を飛んでいるという絵になっているではありませんか。 だいぶ久しぶりに今週は日本についての記事…

薄利多売が求めるもの

4月27日号のBusinessには、ローコストキャリア(LCC)として日本ではあまりなじみのない北欧のNorwegian Air Shuttleという会社が、222機のボーイングおよびエアバスの新型機を購入する、という記事が出ています。飛行機なので、しかも新型とくれば、投資額は…

愛はお金では買えない

Can't buy me love、というビートルズの歌の題名を、日本語に訳するとしたら上のタイトルのようになると思うのですが、4月27日号のBanyanは、増大する貿易取引量に比べてファンが増えない中国に関する分析記事となっていまして、そのタイトルがCan't buy me …

失業と就職氷河期の弧

いつだったか忘れましたが、「平和と繁栄の弧」というフレーズが、たしか日米の協力を推進するための合言葉として喧伝されたことがあったような。 4月27日号のLeadersには、それと違ってヨーロッパから中東・アフリカへと続く地域で深刻化する若者の失業につ…

期待するもの

4月6日号のBusinessには、アベノミクスへの期待をにじませた記事があります。常日頃のThe Economistにありがちな、疑い深い辛口の批判はほとんどなく、日本の経済人に対するインタビューを軸に、期待感を強く打ち出すものになっています。「やるときはやる」…

バイオマスの神話

4月6日号のBusinessには、EUで注目されているバイオマスエネルギー、もしくは木材の燃料化についての興味深い記事があります。 記事によると、ヨーロッパは太陽光(すでに世界の発電能力の3/4を保有)や風力など、再生可能エネルギーへの対応を進めてきたの…

やっぱり世襲?

4月6日号のAsiaには、中央アジアの大国・ウズベキスタンと隣国カザフスタンの指導者が抱える似たような悩みについての比較記事が出ています。以前私も両国に関わったことがありまして、関心を持って記事を読みました。 いずれの国も、広い意味で「トルコ系」…

安いカネの世界

ネットでは4月6日号が流れています。Leadersのトップは、北朝鮮の瀬戸際外交に絡む記事で、タイトルがふるっていて「コリアン・ルーレット」だそうですが、個人的にはもっと興味のある記事があったのでそちらに注目します。 ちょうど今朝の日経一面が「日銀…